▼帰り寄り道




「いやー､今日はいつもより頑張れた気がするっス！」
「そういえば黄瀬くん､いつもよりはりきってましたね」
「なのっちが見ててくれるって思ったら､つい！」
『黄瀬くん､かっこよかったよ』
「！まじっスか!?うわー､なのっちに誉められた!!」


練習後の帰り道､皆いつも一緒に帰ってるらしくて､今日は特別に私も(強制的に引きづりいれられて)その仲間に入っている

皆色んな話をしていて､聞いてるだけでなんだか楽しい｡


「なのちん､お腹減ってないー？」
『んー､どうだろ』


お腹に手を当てて考えてみる｡…減っているな､これは


『減ってるみたい』
「じゃあコンビニ行こー」
『うぉっ』


むーくんにぐいっと腕を引かれて､強制進路変更｡どうやら言葉通りにコンビニに向かうらしい


「腹減ってきたし､ちょうどいいか」
「あ､なのっち今気分はアイスおっけー？」
『いつでもおっけー』
「じゃあ､今日二重のお礼でアイス奢るっス」
『ありがとー！』
「黄瀬ちんじゃあ俺にも〜」
「それはだめっス」
「けち」


わいわいしながらコンビニに入っていく､店員さんたちが人数数えてるけど､そんなに多いかな


「なのっちー､何がいいっスかー？」


アイスの入ってるケースを覗き込みながら､今日の気分で選んでみる｡抹茶食べたいかなぁ…あ､あった


『…ハーゲン抹茶かなぁ』
「えﾞ」
「あぁ､黄瀬くんモデル(笑)ですもんね｡すごいです」


嫌そうな声をあげた黄瀬くんに､黒子くんがいつもの表情のままそう言い放つ｡え､黄瀬くんモデルとか初耳


「く､黒子っち〜！」
『え､黄瀬くんモデル(笑)なの？』
「知らなかったんスか!?」
『うん｡遠慮必要ないね｡黄瀬くんハーゲン』
「なのっちのためなら…！」
「涼太｡俺にも」
「えﾞ赤司っちにもっスか…」
「涼太？」
「あ､いや､喜んで!!」
「えー､ずるい｡黄瀬ちん俺も〜」
「黄瀬なら買えるよな？なんたってモデル(笑)だもんな？」
「青峰っちまで…！」
「ありがとうございます｡黄瀬くん」


どんどん乗り始める皆に､圧倒されていった黄瀬くんは結局皆にアイスを奢ってくれた｡流石モデル(笑)｡器が大きい！

全員分のアイスを奢って少し軽くなってしまったらしい財布に嘆く黄瀬くんを放置して先にコンビニから出た｡さて､抹茶さんいただきますか｡

蓋を剥がしてスプーンで一口分掬って口に入れる｡そうすれば一瞬で口内に広がる抹茶｡うーん､美味しい！


「白月さん､抹茶一口もらってもいいかな？」
『どうぞどうぞー』


赤司くんにアイスとスプーンを渡して､代わりに赤司くんのアイスを受けとる｡赤司くんのアイスは……､ごりごりくんのソーダ｡…なにこのギャップ可愛いんですけど｡

しゃりっと一口かじればソーダの爽やかな味｡美味しー！

二種類のアイスを食べられた幸福感にひたっていると､右頬に冷たい感触｡抹茶がご帰還のようだ


「白月さん｡俺以外とこういうことしたら駄目だからね」
『？うん』


こういうこと､ってどういうことかよくわからなかったけど､とりあえず頷いておくと赤司くんは満足そうに笑った｡

まぁ､今はそれよりも抹茶うまーっだ｡


(帰り寄り道)
20120910
加筆1027

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