▼桃色おとめいろ
「菜乃ちゃんは、テツくんのことどう思う?」
ガシッと掴まれた肩からは、さっちゃんの必死さがものすごくリアルに伝わってくる。これが噂に聞く、恋する乙女…
『テツくんは黒子くんと認識していいんだよね』
「うん!」
じぃっと目を見てくるさっちゃんの目を見返しながら黒子くんについて考えてみる。昨日知り合ったばかりだからなぁ…
『黒子くんはなんか可愛い』
「そっかー。安心した!」
あっという間に笑顔になるさっちゃん。かわいい。恋する乙女は美少女をさらに美しく。鬼に金棒、美少女に恋。これすなわち最強
「菜乃ちゃん、あのね…わたし、テツくんのことが好きなの……」
なんとなく察していたよ。だってさっちゃんわかりやすい。
でも口には出さないで、ただ、うんうんと頷く
「わたし、頑張るね!」
『応援してるよ』
「菜乃ちゃん、好きな人出来たら言ってね、協力するから!」
『さっちゃんいるなら心強いね』
へらりと笑って、さっちゃんの頭を撫でると、さっちゃんは思い切り抱きついてきた。うわっ、軽い、軽すぎる
最近、むーくんとか黄瀬くんとかを受け止めてるってことを差し引いてもさっちゃん軽い
「菜乃ちゃーん…!」
『さっちゃーん』
むぎゅう、と抱き締め合って、お互いの友情を再確認。さっちゃん好きだよ、さっちゃん。
「で、菜乃ちゃん好きな人、いるの?」
『…え』
あら?あららら?
さっきまでハートでふわふわオーラ全開だったのに、今は捕食者みたいなギラギラした目付きになってますよ桃井さん?
さっちゃんのあまりの迫力に後退りすると、何かにドンッとぶつかった。あれ、確か後ろにはまだ壁無かった筈なんだけど…?
そう思いながら振り返って見つけたのは明るい赤色
「なんだか楽しそうな話をしているみたいだね」
そして視界に入るにっこり微笑む赤司くん。赤司くんって恋ばなとかに興味あるんだ、ちょっと意外。
「白月さんの好きな人、俺も知りたいな?」
「さぁ、菜乃ちゃん言っちゃっていいよ!」
『…え、』
前にはさっちゃん、後ろには赤司くん。逃げ場が無い。あ、赤司くんにあとでぶつかったの謝んなきゃ。
ギラギラ、ギラギラ目を輝かせながら近付いてくるさっちゃんに、冷や汗が背中を伝う。恋愛関連の時の女の子って色んな意味ですごいんだね。ちょっさっちゃん顔近すぎ
さっちゃんの顔の前に手を出してストップさせる。
そして空いてる方の手を顎に当てて考えてみる。好きな人、好きな人、好きな人………。
『…うーん。いないかなー……。』
導き出された答えはソレ。好きとかよくわかんないし。
「そっかー、じゃあ素敵な人見つかるといいね!」
「俺はいつでも大丈夫だよ」
『うん?』
笑顔の2人。
赤司くんの言ってる意味はちょっとわからなかったけど、まぁとりあえず2人が笑顔だしまぁいっかなって思った。
(桃色おとめいろ)
20120909
加筆1027
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