▼調理実習
「白月さん、そっちのよろしくね」
『了解しました!』
ただいま調理実習中。
今日作るのはカレーとサラダ。共働きの親の代わりにご飯を作っている私に死角はない。………とか言ってみたい。
ちなみにグループは赤司くんと私とクラスメイト2人。青峰くんとは違うグループになっちゃったのは少し残念。
そういえばさっちゃんのクラスが調理実習のとき、さっちゃんが「テツくんの為に頑張る」ってものすごい気合いが入れてた。恋する乙女は確かにかわいいみたいだ
そんなこんなしているうちに、担当していた材料が全て切り終わってしまった。とりあえずお湯沸かしとかないとな
お鍋に水を入れて火の通りにくいものだけを先に入れておく。先に入れる系のものは私の担当だったから丁度よかった
「白月さん、うまいね」
『そうかな?素晴らしすぎる赤司くんの手捌きの目の当たりにしちゃったからなんとも言えないよ』
「ありがとう」
なんかもう、プロだろ。って手捌きで調理を進めていく赤司くんにあとの2人はもう見とれてる。あれはそうなるよねー
もはや赤司くんなら、瞬きする一瞬の間に料理を仕上げそうな気がしてきた。
(…あ、むーくん)
そういえば、むーくんに調理実習で何か作ったらちょうだい、って頼まれたこと思い出した。でも、今日はカレーとサラダ。あげられるようなメニューではない
赤司くんの方を見れば、調理はもう終わりに近付いていた。それに手伝うこともなさそう
(…デザート、作ろうかな)
赤司くんのおかげで45分とられている時間がだいぶ余ってる。今生地をつくって焼けば調理実習終了までには間に合う。
思い立ったらすぐ行動。先生のとこから材料をかっぱらって作り始める
「白月さん何作ってるの?」
『秘密!』
「また?白月さんは秘密が多いね」
『あはは…。じゃあ出来てからのお楽しみでどうかな』
「あぁ、そっちの方がいいね。出来上がったら俺にもくれるんだろう?楽しみにしてる」
『楽しみにしてて』
赤司くんと会話しながら作り上げた生地をカップに流し込んで余熱しておいたオーブンへ。カレーを食べながら焼き上がるのを待とうかな
「菜乃、なんか作ってんのか?」
『うん』
「出来たら俺にも寄越せよ」
『考えとく』
「うわ、うぜぇ」
人の頭をぐっしゃぐしゃにしておいて、食べ物を恵んでもらえると思うなよアホ峰。
オーブンを覗き込むとマフィンはむくむくと膨らんできていた。
数は10個。
皆に差し入れするために多目に作ったのに気付かれて、赤司くんに「白月さん、可愛いね」ってからかわれたのは、この20秒後のことだった
(調理実習)
20120909
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