▼衝突事故
(体育館、体育館っと…)
鞄を持って廊下を進む。今更だけどむーくんって何部なんだろ。そういえば、むーくんと話すことって、お菓子とくらい…。あ、赤ちんたちのことも話してたな(むーくんが)
ダムダム、バムバム?体育館に近付くにつれてどんどん大きくなるその音。
『♪、♪、♪〜』
ちょっと楽しくなってきて、そのリズムに合わせて歩いていたら、何か大きいものにぶつかった
「!、っとと」
『!あ、ごめんなさい』
ぶつかったのはどうやら人だったらしい。慌てて謝ると、素晴らしく爽やかに相手は振り返った。
「大丈夫っス。君こそ大丈夫っスか?」
『大丈夫です。ありがとうございます』
転んでいないのに何故か差し出された手を丁重にお断りして、もう一度お礼を言う。そしたらこれまた何故か目の前の彼は驚いたように目を丸くしていた
『?どうかしたんですか』
「え、いやぁ…、なんでも無いっス!」
『それならいいんですけど。…もしかして怪我とか、したんですか?』
じーっと、相手を見てみるけど、うん、怪我なさそうだよね…
「あ、あの…、そんなにまじまじと見られると照れるんスけど」
『ごめんなさい。でも怪我してないかちょっと心配だったんで』
怪我なくてよかった。ほっとして息を吐く。
見たところこの人部活行く途中みたいだったから、部活前に怪我させたら申し訳なくて介護くらいはしたくなるかもしれなくもなくなっちゃうから
『じゃあ、失礼します』
「あ、はい!」
本当にすぐそこにあった体育館の扉を開けた瞬間、ものすごく大きなむーくんが飛んできた。
「なのちーん!」
『!むーくん』
言わずともがな私は床とこんにちはしました
(衝突事故)
20120909
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