君と俺と。





「ナツちゃんがどこにいるのか聞くの忘れたーーっ!」


ナツちゃんを探すために教室を飛び出して数分。黒子っちに大事なことを聞いておくのを忘れてた。

あぁ、もう!オレの馬鹿!!いつもは休み時間になってすぐナツちゃんの教室に行っていたから会うことが出来ていたけれど、ナツちゃんがその教室にいないんじゃ、オレにはナツがどこにいるのかなんて、全然全く検討もつかない。

…もう、こうなったら最終手段を使うしかないっスね………!


「愛の力でナツちゃんの居場所を見つけ出す……!」
『それ、ストーカーか何かですか』
「…へ、?」


最終手段、愛の力を発揮しようとしたオレに浴びせかけれる冷ややかな言葉。
これって、これって、もしかしなくても……!
声の聞こえてきた方に、体を向ければやっぱりそこに………ナツちゃんが、いた。


『黄瀬さん痛々しい台詞吐きすぎです。こうして話し掛けるのが本気で嫌です』
「ナツちゃんっ!」
『飛び付かないでください。犬ですかアンタは』


ナツちゃんに真っ正面から抱きついて ぎゅうっ と強く抱き締める。
ナツちゃんが腕つねったり、叩いたりしてるけどそれはアレっスよね!ナツちゃんツンデレなだけだもんね!


「あー、ナツちゃん会いたかった。」
『本当はまだまだ会う予定はなかったんですけどね。暫く近付かないで下さいって言っちゃったし』
「オレにとっては十分暫くたったんスよ!!」
『犬でもまだ待てます』
「オレ犬以下っスか!?」


ナツちゃんの愛が痛いっ!
そこでもう一回思い切り抱き着こうとして、はたっ、と思い出した。
オレ、ナツちゃんに告白するためにナツちゃん探してたんだった…!これじゃダメじゃないっスか!!

ナツちゃんを抱き締めていた腕を解く。このまま抱き締めて告白してもいいんだけど、この雰囲気だと流される確率が高過ぎる。
いきなりオレが腕を解いたのに少しばかり驚いたのかナツちゃんが、オレのことを不思議そうに見上げてくる

……っく、可愛い!!

でもここでナツちゃんの可愛さに負けて抱き着いたりしたら、もうナツちゃんに告白できるチャンスはないかもしれない…!

負けちゃダメっス!オレ!!


「ナツちゃん!」
『なんですか?』


すぅ、と息を吸い込んで勢いよく頭を下げた


「―――好きです!オレと付き合ってください!!」


ばくばく と今まで生きてきた中でかつて無いほどに暴れまわる心臓。
頭を下げたままだから、ナツちゃんがどんな顔をしてるのかも、どんな反応をしているのかも全くわからない。


『――黄瀬さん、』
「!」


名前を呼ばれて顔を上げれば、いつしか見たちょっとだけ照れたようなナツちゃんの顔。でもあのときとは違って今回のナツちゃんは笑っていた


『私、あなたみたいな人嫌いじゃありませんよ』


初めて会って告白したときとどこか似ているその台詞は、初めてフラれた日よりもずっとあたたかい台詞に変わってた


「ナツちゃん、大好きっス!!」





20121110







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