好きな君のことだから
「ナツちゃんは、どんな人がタイプなんスか?」
『はっ?』
もくもくとご飯を食べるナツちゃんにそう話しかければ、ナツちゃんはきょとんとした顔でオレを見た。そんな顔も可愛いのはやっぱナツちゃんだからっスかね!
『いきなり何なんですか』
「いややっぱ好きな子の好きなタイプとか知りたいじゃないっスか〜」
『そんなの知りません』
ナツちゃんは冷たく言うと、お弁当の玉子焼きをつまんで口に運んだ。
「かっこいい人が好きとか、優しい人が好きとか、そんなんでいいっスから」
『じゃあ、赤司さんが好きです』
「…え゙」
赤司っち、ってオレ勝ち目なくないっスか!?…そういえば確かにナツちゃんって赤司っちと仲良さげだし……。赤司っちナツちゃんに優しいし…
……オレ、ナツちゃんと付き合うの無理なんスかね…。だんだん下がっていくテンション、食べてたパンも何だか味が無いように感じて全然美味しくなくなっていく
『…まぁ、黄瀬さんのことも前ほどは嫌いじゃないです』
「!」
いそいで顔を上げると、ナツちゃんは何事もなかったかのようにお弁当を食べていた。でものその頬はちょっと赤くなってて…
「あぁもう!ナツちゃん大好きっス!!」
嬉しさのあまりナツちゃんに抱きつこうとした瞬間、
ゴスッ
「ボクの可愛いナツに触らないで下さい」
鈍い音をたてて黒子っちの拳が鳩尾に命中した
「く、黒子っち…ひど、…」
「ナツに手を出そうとした罪は重いですよ。黄瀬くん。」
黒子っちはナツちゃんを後ろから抱き締めながらそう言った。…壁が多すぎっスよ……
でも、少し希望が見えたからには頑張らなきゃいけないっスよね!
黒子っちに抱きつかれながらももくもくとご飯を食べ続けているナツちゃんを見ながらひとり、オレは全ての壁を乗り越えることを誓った
20121004
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