休息を求めた



『テツ兄』
「どうしたんですか?」


図書室。予想通りそこで本を読んでいたテツ兄に後ろから抱き着いた。いきなり抱き着いたことに何も言ったりせず、ただ優しく頭を撫でてくれるテツ兄は、やっぱり私の大好きなテツ兄だ。


『…ちょっと、疲れた』
「じゃあ、一緒に本を読みながら休みましょうか」
『うん』


テツ兄から離れて隣に座る。そして少し痛くなってきた頭をテツ兄の肩に預けた。この図書室には私と、テツ兄と他数人しかいない。警戒を止めて息を吐く


「やっぱり、ここでの生活は辛いですか」
『…バスケ部の人とか優しい人がいるから大丈夫。クラスも楽しい。だから、辛くはない。でも…』
「黄瀬くん、ですか…」
『…うん』
「じゃあ、ボクから言っておきましょうか」


そう少し心配そうな声色で聞いてきたテツ兄の言葉に、小さく首を横に振った。


『大丈夫。別に黄瀬さんはウザくて苦手なだけで嫌いなわけではない』


教室に押し掛けてくるのはウザいし迷惑だし疲れるけど。本気で赤司さんを呼ぼうとかも思ったこと結構あるけど。


「のわりには、告白ばっさりいってましたよね」
『あれは言い方がウザかったから。気付いたら言ってた。』
「確かにそうですね。ボクの可愛いナツに何ふざけたこと言ってんだあのシャラ男とは思いました。」


あまり表情変わってはいないけど、ずっと一緒にいたんだから感情の変化を読み取るなんて簡単だ。今のテツ兄ちょっと怖かった。

てか、テツ兄の口からシャラ男なんて言葉が出てくると思わなかった。


『テツ兄…?』


なんだかテツ兄が心配になって軽く制服の裾を引っ張ってみる。そうしたら、テツ兄はいつものテツ兄に戻った。


「まぁ、黄瀬くんが調子に乗らない程度、そしてナツが疲れない程度で軽く相手をすれば問題はありません」


困ったことがあったら、今まで通りボクか赤司くんに言ってくださいね。そう言って頭を撫でてきたテツ兄に私は頷いた。



20121001







第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -