羨ましく君を見る




(…あ、ナツちゃん)


二年生のフロア。一年生はあまり来ないその場所に、その小さな後ろ姿を見つけた。もしかして、オレに会いに来てくれた?都合の良すぎる考えだなんてわかってるけど、好きなんだから仕方ないっスよね。

休み時間なだけあって人が多い廊下。小さいナツちゃんはするすると進んでいくけれど、ちょっとオレにはキツい

そして、やっと人混みを抜けてナツちゃんを見つけると、ナツちゃんは赤司っちと楽しそうに話していた。


「――、だと思って―――」
『――。赤司さんは――で、そこが好き―――』


周りの雑音、そして距離であまりはっきりとは聞こえないけれど、部分的に聞こえてくる。ナツちゃんも赤司っちも笑ってる。オレと話しかけても名前を呼んでくれないくせに、赤司っちの名前は呼ぶ。…ずるくないっスか?

気が付けば足は廊下を蹴っていて、体は真っ直ぐナツちゃんのもとへ向かっていく


「ナツちゃん、赤司っち!」
『!?』
「黄瀬か…」


二人の前にばーんっと登場すれば、ナツちゃんは心底嫌そうにオレを見上げ、赤司っちはため息を吐いた。…オレへの対応ひどくないっスかね?涼太泣いちゃうっ


『じゃあ、赤司さん。私はこれで』
「あぁ。気を付けて戻れよ。」


本を胸に抱えてくるりと踵を返した。え、ちょっ、もう戻っちゃうんスか!?早すぎでしょ!?

引き止めようと伸ばした手は、とんでも笑顔な赤司っちによって叩き落とされた。赤司っちの笑顔は嫌な意味ですっごく生き生きしてて…


「黄瀬。今日練習前に外周20周だ。」
「え゙」
「ナツとの時間を邪魔してこの程度の罰なんだから喜ぶといい。」


颯爽と去っていく赤司っちの後ろ姿を見ながら思う。ナツちゃんとは喋れてないなのに外周。こんなひどいことって無いっスよ…!


20120928







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