付きまとうのは黄色い頭




うざい、ほんっとうにうざい。
聞いていた以上にあの人はうざかった。


「ナツちゃーんっ!会いに来たっスよ〜」


ひょっこりと教室に入り込んできた、うざったいソレに教室の内の女子が「きゃー」っと黄色い悲鳴を上げる。うるさいこと、この上無い。

そしてソレが私に近付けば、絶えず黄色い悲鳴を上げながらも、私に羨望と嫉妬の視線を寄越してくる。なんて迷惑な話なんだろうか。


『……』


ちらりと少しだけ視線を向けて、すぐ手元の本へと視線を戻す。赤司さんおすすめだけあってすごく面白い、というか何というか…。とりあえず、あんなのに構っている暇があったら続きを読みたい。

そんな私の気持ちを知らないで、ソレは私の前の席の椅子に勝手に座って話しかけてくる。席の主にちゃんと許可は取ったのだろうか


「ナツちゃん聞いてよー。昨日うちのクラスで調理実習あったんだけど、作ったやつ全部紫原っちが食べちゃって、オレなんも食えなかったんスよねー」
『……』
「それ話したら、桃っちが手作りのお菓子くれたんスけどー…。うん、あれは色んな意味ですごかったっス」
『………』
「ナツちゃんは料理得意なんスか?オレ、ナツちゃんの特製愛妻弁当食べたいっス」
『……………』
「…ナツちゃん、ちゅー、っで!?」
『うざいだまれしねきえろ。毒盛られてろ。』



無視していたらいきなり顔を近付けてきた馬鹿の頭を反射的に本の角で殴っていた。ついでに勝手に口が暴言を吐いていた。…あぁ、赤司さんに謝らなくちゃいけない

はぁ、とため息が出た。


「ナツちゃんはやっぱツンデレっスね!かっわいい!ため息吐いちゃうような悩みがあるならナツちゃんのためにオレ全力で相談にのるっスよ!」


がばっと勢いよく頭を上げたと思ったらそんなキチガイ台詞を吐いたソイツに、さっきよりも深いため息が出た。

お前が私に関わらなきゃ私はため息なんか吐かないことに早く気づけこの脳内イエロー野郎。


20120928







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