帰り道



「お疲れ様でしたー」


仕事が終わり、裏口から皆がぞろぞろと出てくる

もちろん俺と名前ちゃんも一緒に


「じゃあ、また明日!」


種島さんの言葉を合図に、それぞれが自分の帰り道へと散っていく

皆がいなくなったあと、俺は名前ちゃんに手を差し伸べて微笑んだ


「俺達も帰ろうか」

「はいっ!」


すっぽりと俺の手のひらに収まる名前ちゃんの小さい手。

その手をぎゅっと握って、二人並んで歩き出す

口から吐き出す息が、真っ白な煙に変わり、真っ暗な空へと消えていく


「寒いですね、相馬さん」

「そうだね」


寒さからなのか、名前ちゃんの頬はほんのり赤くなっている


「名前ちゃん、頬真っ赤になってる」


そっと、名前ちゃんの頬に指を滑らせればひんやりと冷たさが伝わる


「あ、あの?相馬さん?」

「なぁに?名前ちゃん」


ぼぼっと、違う意味で更に赤く染まっていく名前ちゃんの頬。

俺に頬を撫でられて緊張しているのか、視線があちこちに飛んでいる

そんな名前ちゃんが、可愛くて、愛しくて仕方ない


「名前ちゃん、目瞑って」

「あ、…はい」


ぎゅっ、と目をキツく閉じて俺の方に顔を向ける名前ちゃんに、自然と心臓がどくり、と動いた

頬を撫でていた手を止めて、それを頬に添える

力がこもった、繋がれた手に答えるように、強く名前ちゃんの手を握り返す。

ちゅっ、と軽く唇を重ね合わせて離す。それを何回か繰り返してから顔を離す。


「名前ちゃん、可愛い」

「…、相馬さんのせいですよ……」


真っ赤な顔の名前ちゃんをぎゅっと抱き締めれば、温もりが伝わってくる。

そっと、回ってくる名前ちゃんの手に、口元が自然と緩む


「本当に可愛いなぁ。今日、家に泊まっていく?」

「んなっ、相馬さん!」

「冗談だよ、半分くらい。」

「半分って、半分は本気じゃないですか!」

「だって、名前ちゃん可愛いんだもん。それに俺、名前ちゃん大好きだし」

「…、相馬さんのあほ」

「ひどいなぁ」


ぎゅっと手を繋いで、帰り道。隣には君がいい。

寒い寒い冬の帰り道だって、君がいれば大丈夫。


―帰り道

(大好きな君と温もりと)


リクエスト内容は
相馬で甘夢、従業員で彼女っとのことでした。
甘くなっていたでしょうか?リクエストありがとうございました!!

20120126

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