ヘタレの本気




『ギルってさ、ヘタレだよね』
「はぁ!?」


唐突にナマエが放った言葉にギルは思い切り眉間に皺を寄せた

ナマエはそれに気付きながらも淡々と話を続ける


『ギルは好きな相手がいても絶対手、出せないよね。もはや逃げそう』
「そんなことない!」
『キスとか絶対無理だよね。真っ赤になって倒れそう』
「〜っ///キ、キスとか言うなよ…!」
『わー、真っ赤』


話だけで真っ赤になったギルを見てナマエはけらけらと笑う


『まー、好きな相手いるなら頑張れ。ギルからキスのひとつでも出来れば何か変わるかもよ?』


紅茶を一口飲み込んでから、カップ片手にナマエは首を傾げながら微笑んだ


「…本当か?」


真っ赤な顔を隠していた真っ白な手袋をはめた指と指の隙間からナマエの顔を伺い見るとナマエはこくりと頷いた

ギルは一回深呼吸をすると、ナマエの手に自分の手を重ねて、ナマエの唇と自身のを軽く触れ合わせた


『っ、ちょっ、ギルバートさん』
「甘く見るからそういうめに合うんだよ!」


ギルは先程よりもずっと真っ赤な顔をしながら、逃げるようにそこから走り去る

ナマエはその後ろ姿を見ながら、静かに『やられたー』と呟いた


ヘタレの本気
(うっかりときめた)


20120709

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