例えばの話
「残夏さん、残夏さん」
「ん〜、何かな名字?」
「例えばの話なんですけどね、この花がもう少しで消えてしまう。っとしたらどうしますか?」
名字はその小さく白い手に、真っ赤な花を乗せながら笑う。
その笑みは、どこか泣いているようにも見えた。
「そうだね〜、ボクだったら…」
寂しそうなその手をそっと包み込むように、自分の手を重ね合わせる
「消えてしまうその瞬間まで、いいや消えてしまったあとも、傍にいるよ」
「…ありがとう、残夏さん」
ふわっと嬉しそうに笑った名字は、手に咲く花よりもずっとずっと綺麗だった。
例えばの話
(君が消える一週間前の)
20120227
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