The trap of love




「名字ってさ、好きな人いるの〜?」

「…はっ?」


夏目さんのいきなりすぎるこの質問に私は危うく、紅茶を口から吹き出しかけた。

それを我慢できたのは流石私と言っておく。


「なんでいきなりそんなこと聞くんですか?」


紅茶の入ったカップを置いて、読めない笑顔の夏目さんをじっと眺める

好きな人、なんて…。


「ん〜、なんとなくかな〜?ちよたんもラスカルも好きな人いるじゃない?じゃあ、名字はどうなのか〜って」

「なるほどねぇ…」


双熾さん、反ノ塚くん、蜻蛉さん…。うん、この三人は無いかな〜

だいたい好きな人、なんて考えたことも無かったしなぁ


「ねえ、名字」

「なんです?夏目さ、」


言葉はそこで強制的に中断された。

そのことを理解するのには、三秒ほどの時間が私には必要だった


「…!」


そして理解したときには、目の前に夏目さんのいつもより少しだけ悪戯気に見える笑顔があった

まだ少し残っている、柔らかくあたたかい感触


「な、夏目さん…!」

「なにかな?名字」


顔真っ赤になってるよ〜?なんて、夏目さんは私を指差しながら楽しそう


「何、して…!」


喋ろうとした私の唇に夏目さんはすっとその長い人差し指を置いた


「ボクとか、どうかな〜?名前ちゃん?」


私を見つめた銀色に、心臓がどくりと脈を打つ

…どうやら私は夏目さんの仕掛けた罠に嵌まってしまったようだった



The trap of love

(嵌まったら抜け出せない)

20120225

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