姉貴の可愛いところ
「うわぁっ!」
姉貴の叫び声とガシャン、と何かが崩れ落ちる音。
それを聞きつけた俺は急いで、姉貴のもとに向かう
「どうした!姉貴!!」
「り、燐〜!」
そこには、頭から生クリームをかぶった姉貴と、散乱するボールに泡立て器にケーキの型などなど
「大丈夫か?」
「いえ、全然全く」
傍に寄って、頬についた生クリームを拭ってやりながら声をかけると、姉貴はしょんぼりと頭を下げた
犬の耳が勝手に見えてくるのが不思議だ。
「ごめんね、燐」
「?何がだ」
「台所めちゃくちゃにしちゃって…」
「あー、大丈夫だよ!気にすんな」
「…ありがとう、燐」
ふにゃり、と笑う姉貴だけど、鼻の頭に生クリームがついているからすこし面白い
「それより、姉貴は何を作ろうとしてたんだ?」
「…え゛」
俺の質問に視線を泳がせ始める、姉貴。怪しさが満載だ
「姉貴?」
もう一度聞くと、姉貴は小さくぼそりと呟いた
「最近、燐たち頑張ってるから…差し入れでもって思ってさ」
姉貴は昔からこうだった。俺たちのことをいつも思ってくれている
自然と口元が緩んでく
俺は姉貴の手を引っ張って立たせると、にかっと笑った
「んじゃ、一緒に作ろうぜ!」
「うんっ!」
姉貴の可愛いところ
(俺たちのために頑張ってくれるとこ)
20120129
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