心変わり、ころころと
「博臣、博臣!」
「なに?」
やけに嬉しそうに笑いながら、俺のことを叩く名前。
どうせいつもの話だろうな、って思いながら返事をして振り返る
「あのね、佐藤さんって格好いいね!」
「そうだね。でも佐藤君には心に決めた人がいるよ?」
俺がそう言った途端、きらきらと輝いていた目は一気にしゅん、と輝きを失う。
分かりやすすぎる素直な子。
「…小鳥遊くんも!」
「彼は小さいものしか好きじゃないよ」
「…まじでか」
うーん、と唸って転がり出す名前。
その姿にくすりと笑いながらも、少しだけ心は曇る
そんなに悩まなくても俺がいるんだから、早く気付いてよ名前。
その思いを込めて俺は微笑んだ。
「もっと近くを見てみたら?」
―心変わり、ころころと
(そろそろ俺はいかがですか?)
◎ひよこ屋
20120203
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