結果的に



綺麗なウェディングドレスを纏い。

綺麗にメイクをしてもらう。

でも、全然嬉しくないの

隣にいるのが貴方じゃないから…




『綺麗だよ』


あの人も友達も皆がそう私を褒めた。

ありがとう、と笑顔で返すけれど、そんなこと言われても嬉しいなんて思わなかった

そんなことを思っていても時間は勝手に過ぎていく。気が付けばほら、もう式場の扉の前。

悲しそうなお父さんと腕を組んで立つ。

開け放たれる扉。皆からの祝福。笑顔のあの人

不思議、不思議なんだ

女の子が幸せだと感じるこの瞬間が苦痛に感じる

薬指にはめられる指輪が、私の首を締めていく


―ねぇ、相馬さん。貴方に私の手紙は届きましたか?


あの人の顔がだんだん近付いてくる、あぁ涙が溢れそう

相馬さん、相馬さんに会いたいです

でも、無理みたいですね

ゆっくりと目を閉じる

相馬さん、大好きでした――



―ざわっ


いきなりざわめきだつ式場内。
あの人の熱も遠ざかる

皆が見つめる式場の扉の前には―


「名前ちゃん、迎えに来たよ。遅くなってごめんね」

「―相馬、さ」


爽やかに笑う相馬さんが、いた

相馬さんは私の元に走ってくると、私の手を掴んで微笑んだ


「行こう、名前ちゃん」

「はいっ!」


相馬さんの手を握り返して、一緒に走り出す

周りの驚く顔もなにもかもどうでもいい

相馬さんが来てくれた、私を奪いに来てくれた

それだけで私は幸せだ

私たちを祝福するように、真っ白な鳩たちが空に舞った


―結果的に

(貴方に奪われました)


最終的に、の続編的な

20120123

[ 2/11 ]
[] []
[list][bkm]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -