求めるもの




崩れ落ちる対戦相手

舞い散るカード

圧倒的な力を見せつけての鮮やかな勝利

人を魅了して止まないその強さ

真っ赤な長い髪を靡かせて、美しすぎる歪んだ笑みを浮かべる

―それが我らが当主、雀ヶ森レン




ファイトを終えたレン様は、ファイトの前と対して変わらない様子で帰ってきた。

それもそうだろう。

レン様はさっきの対戦相手に本気など出していなかったのだから


「お疲れ様です。レン様」


そう笑顔を浮かべれば、レン様もどこか表情を緩める


「えぇ。ちゃんと見ていたのですね」

「はい。しっかりと」


とても素敵でしたよ、と私はまた笑う

強い、強いレン様。貴方はとっても素敵。


「…そうですか」


ふわりと体を包む温もり。

その長く美しい赤の髪が優しく私の頬を撫でる


「名前」

「なんでしょうか、レン様」

「僕のことは好きですか?」


耳をくすぐる、意識的に低められた甘い声

熱に浮かされたように、ぷわっと体が熱くなる感覚に襲われる


「好きですよ。貴方は強いから」


陶器のように滑らかなレン様の頬にするりと指を滑らせる

レン様は目を細めるとまた、問いを口にする


「僕の傍にずっといてくれますか」


私は笑う。

そうしてレン様の耳元で囁いた


「貴方が強くあり続ける限り」



―求めるもの

(強い貴方しかいらないの)


主人公を欲するレンと
強い者だけを愛する主人公
20120122

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