好きな人の名前
「名前、消しゴム貸して」
「ん、どうぞ」
名前から借りた消しゴムで、ごしごしとノートの文字を消していたときふと、思い出した
最近女の子たちの間でおまじないが流行ってる、と春が言っていたことを
かぽっと消しゴムのカバーを外すと、消しゴムには"浅羽祐希"と書いてあった
「…名前」
「なにー?」
ノートから目をはなさずに答える名前に俺は聞いた
「消しゴムに俺の名前書いてあるんですけど…」
「えっ!?」
「…あ」
名前は目にも止まらぬ速さで俺から消しゴムを奪い取った。名前の顔はなんだか赤い
「べ、別になんでもないからね!?」
「…そうですか」
消しゴムをしまって、ほっと息を吐いた名前。俺はその姿を見て小さく呟いた
「消しゴムに好きな人の名前を書くっておまじない、効くのかな…」
「なっ!?」
今度は真っ赤かになってしまった名前の頬に、冷たい筆箱を押し付けた
―好きな人の名前
(消しゴムのおまじない)
べたなやつ
◎DOGOD69
20120202
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