おはよう眠り姫




「遅くなった…」


ぱたぱたと廊下には俺の足音だけが響く

あの子はまだ待っているのかな、帰ってくれてるといいんだけど

思ったよりも長引いてしまった日直の仕事。今だけ恨みますよ先生。


ガラッ、と教室のドアを開けば、夕日で真っ赤に染まったその中にぽつりとうずくまるものを見つけた

窓側の一番後ろ。今の俺の席。

そこで名前は机に覆い被さるようにしながら、眠っていた

無防備な寝顔を晒す名前に少しだけ苛ついた。

俺以外の奴が入ってきたらどうするつもりだったの、と。


「名前、遅くなってごめんね」


軽くその体を揺すれば、ふるりと睫毛が揺れて、名前が目を開いた


「…ゆーた?」

「うん」


寝ぼけ眼で俺を見上げる名前は呂律が回っていないままで俺の名前を呼ぶ


「おはよう、名前」


頭を撫でてやると、名前はふにゃりと笑った


「おはよう、悠太」



―おはよう眠り姫

(ぼんやり見つめる瞳が好き)

◎JUKE BOX.
20120131

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