幸せ探し
「幸せってなんだろうね？」
「えっ？」
空を見上げながら名前は呟いた。
きっと名前はただ何となく言ってたんだろう。たまにこういうことを言い出すことがあるから
幸せ、おれにとっては今の環境がまさに"幸せ"そのものだ。優しい人に囲まれて過ごすあたたかい日々
だけど、幸せなんて人それぞれなんだよな…
「幸せってさー、今みたいなことを言うとは思うんだけど…」
何かが、足りない気がするんだよ。名前は苦笑いを浮かべながらそう呟いた。
幸せだけど、足りない。
その言葉が静かにおれの中で反響する
足りないものってなんだろう。
手を伸ばせばすぐに届くものなのか、それともとても遠くにあるものなのか
不意に視線を落とした。そのときふわりと揺れたそれ。
無意識のままにそれを手に取り名前へと差し出していた
「どうしたの夏目？それ、四つ葉じゃんか」
「ねぇ、名前」
「んー？」
「足りないもの一緒に探してみようか」
はにかんだ名前の笑顔が目にうつった
―幸せ探し
(近くにあるそれを見逃さないで)
20120326
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