また会う日まで
第一印象は綺麗な人
その次は不思議な人
今は、大好きな人―
***
「よし、行くぞ!私」
鏡の前で気合いをいれて外に出る。
少し歩けば見えてくるその背中。朝一番に見たのは彼。それだけで胸が弾む
急いでその背中に駆け寄って、「おはよう」と笑顔を浮かべる
「あぁ、おはよう。名字」
微笑んで挨拶を返してくれる夏目くんにぽわっと、心があったまる
気持ちはふわふわしてるのに、何故か心臓は激しく脈を打っている
不思議、だけど幸せなの
毎日朝に夏目くんに挨拶して、微笑みを見る。これがいつからかの私の習慣。
きっと、これからも変わらない習慣、そう思っていたけれど終わりは案外早くやって来てしまった
夏目くんが転校することになったのだ
最初に聞いたときは信じられなくて、夏目くんに聞きにいったら苦笑いで「うん」と言われた
行かないで、と言いそうになった言葉を飲み込んだ。夏目くんを苦しませてしまうような気がしたから
だから頑張って笑顔をつくった。そうなんだ、って。
挨拶を交わすだけの関係だったことを今更になって後悔した
もっと、もっとたくさん話してみたかった、仲良くなりたかった
今頃になって欲求が止めどなく溢れ出してくる
「夏目、くん…」
小さく名前を呟いた、もう涙が溢れそうなくらいにたまっていたから
「なぁ、名字。」
「…どうしたの、夏目くん?」
「また会えたら、今度こそは色んな話できるといいな」
柔らかく笑う夏目くんの顔がぼやける。その涙を拭って涙に濡れたままの顔で笑った
「また会えたら、じゃなくてまた会おう夏目くん!」
「!そうだな…」
その次の日に夏目くんは引っ越していった
さようならじゃなくて、また会いましょうの約束をして
―また会う日まで
(お別れなんかじゃないんだよ)
意味不
20120210
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