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「おー、涼しい!」
『当たり前だろう。私の見つけた場所なのだから』
得意そうにふんっ、と鼻を鳴らす白銀は置いといて、小さな湖にちゃぷりと足を入れる
夏の暑さで火照った体がちょうどよく冷えていく
はぁー、きもちいい…
足を動かしたり、手で掬ったりしながら水の感触を楽しむ
ここの水は柔らかい。
指の隙間からあっという間に水が滑り落ちていった
「あれ、ギン入らないの」
『私は水が好きではないからな』
湖から顔を背けて、日陰で丸くなっている白銀にむくむくと悪戯心が沸き上がってくる
手にそっと水を掬ってこぼれないように、静かに静かに歩く
そして…
『っ!?何だ!?』
白銀の背中に水を落とした。
いきなり水をかけられて、慌てる白銀は、いつもの堂々と偉そうにしているときとのギャップがすごい
目が大きく見開かれて、毛も逆立っている
必死に声を殺して笑っていると、白銀の低い声が聞こえてきた
『…菜和、お前…!』
「…ギン、かわいい、よっ!あははっ」
『お前は一回頭を冷やしてこい!』
「うわっ」
あろうことか白銀はその立派な尻尾を振るい、私を吹き飛ばした
いきなりのことで避けることができす、飛ばされるがままに湖へ
バシャン、と派手な音を立てて、湖に体が沈む
透き通った水に太陽の光が反射して輝いているのが見えた
「ぷは、」
水面に顔を出せば、もう白銀は丸まって寝ていた。
なんだろうこのイラッとするかんじ。
落とされたせいで、頭から爪先までびしょ濡れ
…でもまぁ気持ちいいからいっか。
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