彼女の日常




「じゃあ、いってきます。菜和、塔子さん」

「いってらっしゃい。お兄ちゃん。」


走って行くお兄ちゃんの後ろ姿を見えなくなるまで見送ったあと、塔子さんと一緒に家に戻る。


「塔子さん。私、洗濯物干してきますね」

「えぇ、お願いね。菜和ちゃん」

「はい」


お風呂場へ行って、そこにある洗濯機から洗濯物を取り出す

水で濡れた洗濯物は絞られていると言っても、なかなか重い。

まぁ、もう慣れたから大丈夫なんだけど

籠に洗濯物を入れて庭まで運ぶ。

青い綺麗な空に、少し強めの風。

今日は洗濯物がよく乾きそうだ。


「…ふぅ、」


最後の一枚を干し終えて、一つ息を吐く。

風が吹いているとはいえ、今は夏だ。じっとりと体が汗で湿っていた


『終わったのか。』

「んー、洗濯物干しだけはねー」


いつの間にか、白銀が柔らかな毛を風に靡かせながらすぐそこに座っていた

白銀は基本いきなり現れる。これには最初の頃何回も驚かされた。

もう慣れたので驚いたりはしないけど


『そうか。では早く終わらせて山へ涼みに行こう』


白銀は嫌そうにぎらぎら輝く太陽を睨み付ける。

そしてその太陽の光を浴びて白銀の綺麗な銀の毛も輝く

…どっちも眩しい。目には絶対に良くないな


「なら手伝ってよ」

『ふむ、そうだな』


ぽんっ、と軽い音を立てて、人間に化けた白銀を引き連れて残りの仕事を終わらせた。

途中、塔子さんが持ってきてくれた冷たいスイカも食べた。

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