第二十話・科学の部屋で急展開・



「私はフィリア・フィリスと申します
皆さん、以後お見知りおきを」
「私は稀代の天才科学者ハロルド・ベルセリオスよ、まぁよろしく頼むわ」

「よろしくお願いしまーす」

リフィル以外の女性、片や若草色の髪を丁寧に三編みにした眼鏡をかけたフィリア、片やピンクの派手な髪にこれまた派手な衣装を着たハロルド
前者はおしとやかでいかにも大人、後者は破天荒そうな雰囲気ぷんぷんでいかにも面倒事を起こしそうな子供というのが第一印象だった

とりあえずこの場にいる全員が挨拶を終えたのでジェイドがさてと話を始める


「では最初に確認です
先程お話ししたとおり私達はこの世界『エクティラ』ではない別の世界から来た・・・というところまでは理解していただけていますね?」

「・・・はい、現実味は・・・有りませんが・・・」

「それで別によろしくてよ
いきなり異世界から来ただなんて言われて直ぐに飲み込める人なんて・・・まずいないわ」

「ですから、今からする話は大まかなところを理解していただくだけで結構です」

「それでは始めましょう
議題の中心は勿論、そこでのんびりとしている若君のことです」


自らの名を呼ばれたことに若木が反応する
そんな彼をミナカがおいでおいでと手振りで呼び傍らの椅子に座るよう促す
若木は呼ばれるがままにぴょこぴょこと動いて全員の中心となる椅子に行儀よく座った
それを確認してリフィルが話を始める


「テュリ達が説明した確認だけど、この子は世界樹の根から出現し・・・現在は私達が保護しているの
最初はディセンダーと似た何か・・・そう思って話を聞いてみたけど・・・根から生まれたという違いのようにやはりディセンダーとは別の存在であることがこの子との話でわかったわ」

「違う?
確かお伽噺ではディセンダーも樹から生まれるんだろう?何が違うんだ?」

「私達は皆の話によると樹から光が放出されるみたいに生み出されるんだって
それに生まれた時の私達は自分の名前以外は知らないんだよ」


首を傾げたシュネィヴァにミナカが簡単に相違点を説明してくれた
続いてレクが「だけど」と口を開く

「若は名前の他にこの世界について色々無駄に詳しかった
例えば若君よ」

急に若木へ話題を振るレク
しかし彼は全く動じず

「何?レク」

と首を傾げた


「ここで質問です!チャラン!」
「効果音いらなくない?」
「いいの雰囲気出し
ここ「エクティラ」の陸と海の面積比率はズバリ!」

「2:8なの!」

「多分正解!
・・・とまぁこんな風に即答な訳だ
ちなみにあってた?」

「あぁ・・・確かに」

「ディセンダーは生まれてすぐは世界についての知識を有してないんだよ、だから若はディセンダーじゃない?って話になったんだ」


へぇ・・・と頷く三人
じゃあ姫祇はどうして根から産まれたんだろうか?そうシュネィヴァが頭を捻った瞬間だった


「さて、事情を理解していただけた皆さんにここでお願いがあります」


相変わらずの微笑でお願いなどと切り出してきたジェイドに一同は揃って顔を見合わせた


「??何?お願いって」

「こうして若君と出会ったのも何かの縁と思って暫く彼と行動を共にして頂けないでしょうか?」

「「「・・・はい?」」」


お願いの突拍子もない内容に三人の疑問符が綺麗に揃って科学室に響く
ジェイドのチャームポイントなる眼鏡がキラリと輝いたのがとても印象的だった


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