第十八話・謎船体験案内つき・


一方シュネィヴァは解散後テュリにバンエルティア号の案内を頼んだ


「この部屋がホール、右側の廊下には食堂で、左側の廊下には研究室と医務室があるんだ」

「ほー、結構充実してるんだな・・・」

「なんだか楽しそうだね?そんなに珍しい?」

「あぁ!最初は船かどうかも怪しかったけど船とわかったら別だ!
なかなか面白い構造だし、うちの船に使えそうな所もあるし」


「ティルータ」の若き頭領シュネィヴァ
別世界の古代船バンエルティア号を見て子供のようにはしゃぎ、感動する

幼い頃から船と共にあった頭領は自分の船をより良くするべく探究心全開で船内を見渡していた

そんな風に自分達の船に興味を持ってもらえて嬉しいのか、テュリは誇らしげな表情で案内する


「おいテュリ、舵は何処にあるんだ?」

「あぁ、この上の階が操舵室になってるよ、見る?」

「是非!」



「あっ!テュリここにいたんだ!」

「?」


案内にワクワクしていたシュネィヴァはどこからかしたテュリを呼ぶ声にテンションを落とした

声の主は淡い桃色の髪に蒼いカチューシャ、海がよく似合いそうな白と蒼のワンピースの少女
その傍らには猫のぬいぐるみのような空を飛ぶ(!?)愛くるしい生き物も一緒だった


「カノンノにパニール、どうかしたの?」

テュリが二人(一人と一匹?)に声をかける
その声が僅かに上擦っていた気がするのは気のせい?

それを気にした様子もなく近くに来た少女は明るい笑顔を見せる
まるで見る者を幸せにするような綺麗な微笑みだった
彼女の快活な声が辺りに響く


「さっきお菓子を焼いたから食べてもらおうと思って皆を探してたの!
あっ?貴方が姫のお友達?」

「ん?えぇと、友達かは怪しいけど・・・クラスメイトではあるかな」

「挨拶まだだね!私はカノンノ・イアハート、ギルド「アドリビドム」の一員なんだ!よろしくね!」

「ギルド?」

聞き慣れぬ言葉を思わずおうむ返しにするシュネィヴァ


「あ、説明してなかったね、僕等はこのバンエルティア号を拠点としてギルド活動をしてるんだよ」

簡単に補足してくれるテュリ、ありがたい


「でもあの・・・チャットだったか?は海賊とか言って・・・」

船乗りにとって海賊は天敵であり一番受け入れ難い集団である
自己紹介にチラリと出たときから気になっていたのだが


「あぁ、最初はそうだっみたいだけど子分が集まらないからファラ、仲間の一人なんだけど、彼女がギルドを立ち上げて・・・」

「それから色々あって「アドリビドム」っていう名前をつけて本格的に活動を始めたの!」

二人で説明してくれるテュリとカノンノ
爽やか過ぎる笑顔が二方向から迫ってくる
片や美少女、片や美少年
あれ?何この状況


「カノンノ、私も挨拶したいからちょっといいかしら?」

「あ!ごめんねパニール、シュネィヴァ紹介するねパニールだよ」

そんな声と共に彼女の脇から出てきたのは先程の猫型浮遊人形もどき
愛くるしい笑みを浮かべて小さな手動かしている姿は女性がとても好みそうだ


「初めましてパニールと申します、ギルドの家事全般を任されていますの、こんなおばさんだけどよろしくお願いいたしますね?」

「あぁよろしく・・・っておば・・・さん??」

「どうかなさったかしら?」

シュネィヴァは首を傾げるパニールを凝視し「おばさん」要素を探す

言動は確かに「おばさん」なだが外見はどうみても「おばさん」に見えない
身に纏っている小さなエプロンは言われてしまえば「おばさん」アイテムかもしれないが知らない者が見れば小動物の可愛いアイテム


「おばさんには・・・見えないけどな?」

「あらやだぁ!おだてても何も出ないですよぅ!
・・・ぁでもココアくらいなら」

きゃぴきゃぴとはしゃぐパニール
あ、これはちょっと見えないことはないかも・・・
とか思いつつも本人は喜んでいるので言わないでおく


「・・・で今船内を案内してたんだ、お菓子コレが終わったあとでも大丈夫・・・?」

「うん平気!テュリ達の分とっておくね」

パニールと喋ってる間テュリはカノンノに現状を説明していた
おや?心なしかテュリの顔が赤い気が・・・
すると頭の疑問にパニールが小声で答えてくれた

『テュリさんね、カノンノのことが気になるみたいなんですよ』

『えっ?じゃあ今絶賛片思い中なのか?』

『はい、見守ってると凄く愛らしいですよ?』

『へぇぇ意外だな、彼女ぐらいいるかと思ってた』

「二人ともどうかしたの?」

「いや、何も」
「いえ、別に」

「???」



シュネィヴァとパニールの白々しい態度に内緒話に噂されていた本人は首を傾げていた


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