第十七話・皆と挨拶、二人目・


-バンエルティア内体験・チィリカVer-

見た目より大きな船内をチィリカはキョロキョロと見回していた
歩き回っていると前方より団体が歩いてきたのでぶつからないよう立ち止まる
すると相手もチィリカの目の前に来て立ち止まった


「・・・どうも」

「・・・あぁ」

チィリカの声に青みがかった銀髪の青年が答える


「「・・・・・・」」


しかしそれだけで無言になってしまった
チィリカは基本喋る方ではない、マリカと一緒にいれば多少饒舌になるがこういう場面では真っ先に話すタイプではないのだ
そして相手もそうなのだろう、互いに見つめあったまま沈黙

暫くそうしていると青年の後ろでムズムズと動き出す者がいた
真っ赤な髪に真紅の眼、ぴったりとした上着に半ズボンでいかにもやんちゃそうな少年はこの沈黙に堪えられないらしい


「あーー!もう!ヴェイグもそっちの人も喋らなさすぎだヨ!もっと盛り上がろうヨー!」

「・・・別によくないか?」

「・・・同じく」

「ガーン!信じられない!だったらそんなヴェイグの代わりにボクが紹介してあげるヨ!」

赤い少年はワイワイと一人で騒ぎ勝手にこの場を盛り上げ始めた
青年の方は慣れたものなのか無言でその様子を眺めていた
そんなことお構い無しで少年は自己紹介を始める

「まず最初に〜!初めまして〜!ボクの名前はマオ!歌を作るのが好きなんだ〜!それで!こっちがヴェイグ!」

「・・・ヴェイグ・リュングベルだ」

「・・・初めまして・・・私は・・・チィリカといいます」

のせられるままに挨拶を交わす
マオは相変わらずハイテンションで跳ね回っていた
そんなマオを見て隣にいた髪に癖のある少女が困り顔になった


「ホラ、マオ!少し落ち着いて、チィリカさんも困ってるじゃない」

「えー、だって楽しい方がいいでしょー?」


たしなめた少女は大人しそうな雰囲気を持っていて叱っている顔もどこか愛らしい
そんなチィリカの視線に気づいたのか少女はハッとなって慌てて頭を下げる


「あ、すみません紹介が遅れました、私はアニー・バース」

「も〜アニーったらうっかりしてるんだから〜」

「誰のせいです?」

「エヘヘヘ、あユージーンも紹介するヨ!ボクのお父さんみたいなヒトなんだ!」

「・・・ユージー・・・んっ?!?」

最後にマオ達の背後から現れたのは長身のヒトだった
黒い肌(?)強固そうな鎧、ふよふよと動く細い・・・


「ユージーン・ガラルドだ、以後よろしく頼む・・・ん?どうした?顔色が悪いぞ?」

「具合が悪いんですか?チィリカさん?」



「あ・・・あああああっ!!・・・ネコはイヤアアアアアアアッッ!!!!」


ふよふよと動く立派な尻尾に豹の顔立ちをしたユージーンを見たチィリカは必死の形相で一目散に逃げ出した


残される面々


「・・・逃げたな」

「ユージーン、いきなり嫌われちゃったネ」

「あの・・・元気だしてください」

「・・・俺の顔は・・・そんなに嫌われるのか」
「・・・・・・」


落ち込むユージーンを仲間達はただ慰めるのだった



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