第十四話・開きだした秘密・


「・・・・・・どうしたんだ?姫祇?」

「だぁーかぁーらぁー!!若ーーーー!!」


足をバタバタと動かし否定を主張する姫祇(?)
その姫やら若やらの意味がわからず首を傾げるシュネィヴァ・マリカ・チィリカの三人

説明を求めるように一番まともなテュリを見つめると、テュリはキルに視線を送ったりしたが暫くしてこちらに向き直った


「それじゃあ、その事も交えながら説明をさせてもらうね」

「・・・あぁ」


「まず最初に、世界樹は分かるよね?」

「「はぁ??」」

シュネィヴァとマリカの呆れ声が重なる
チィリカも何を言ってんだという目でテュリを見ていた


世界樹とは世界の中心にある大木
世界樹は生命に必要なマナを生み出し、世界を守り、調える存在

それを知っているか?だって?

呆れた表情の三人を見てテュリが慌てて手を振る

「やっ!その、馬鹿にしてるんじゃなくて話す前に言っておきたかっただけなんだよ」

「世界樹を知らない人間はいないって確証を得たかっただけだから」

キルが指を立てて補足

「世界樹が関わる話だから、じゃあもう一つ聞くけど?ディセンダーは知ってる?」

「ディセンダーってお伽噺のか?」


ディセンダーは世界の危機に世界樹から生まれ、世界を救うと言われている英雄
状況に応じて姿を変え、その身体は常に光を纏っているという


「あっ、こっちにも伝わってるんだ〜!」

何故かミナカが嬉しそうな顔になった
ディセンダーの伝説は子供が一度は聞くお伽噺の定番なのに・・・?


「・・・さっきから・・・何故、当たり前なことを質問してくるのですか?」

チィリカが尋ねる
シュネィヴァとマリカも無言で彼等に答えを求めた


「突拍子もない話だけど・・・信じろよ?」

レクが念押すると隣のミナカが急に真剣な顔になった
唇が、言葉を紡ぐ


「私達はね、
「エクティラ」の人間じゃないんだよ」


「・・・・・・なに?」

眼を見開くシュネィヴァ達にミナカは語る
自分達は別世界から来た存在でミナカ・レクとキル・テュリは別世界の世界樹から生まれたディセンダーだと


「キミたちが・・・ディセンダー??」

マリカが首を傾げがそれも当然だ
ディセンダーはお伽噺だけの存在、そう簡単には信じられない

しかも別世界と言われれば尚更だ



「・・・全部鵜呑みにしろってか?」

「ううん、聞くだけ聞いてくれればいいんだよ」

テュリがお得意の微笑みをこぼす
今までの話を信じてしまう気分になるのは彼の作戦だろうか?


「ま、いいか・・・んで?ディセンダーさんよ、姫祇はそれとどう関係してるんだ?」
「だから若ーっ!!」

未だ腕にしがみついた姫祇(?)が同じ単語に文句を言ってくる
こやついつまでくっついているのだろう

そんな二人を見てテュリが笑った
楽しまれてる・・・?



「うん、姫・・・というか若ね、この子は世界樹と凄く関係があるんだ」

「・・・!まさか・・・ディセンダーとか?」

チィリカの声にマリカが「あっ!」と声を出す



世界を襲った大災害
それを期に産み出されるマナが急速に減少し魔物が増えた
世界樹のマナ生産量の低下―――それは生命が育まれなくなることを意味する
この危機にディセンダーが生まれていてもおかしくはない

しかもディセンダーは生まれた時に記憶がなく、知らないがゆえ向こう見ずな勇気を持ち合わせているとか

姫祇(?)が幼かったり、無鉄砲なのはそこからなのかもしれない


・・・しかし


「ううん、若はディセンダーじゃないよ」

テュリがあっさり否定
長ったらしい説明を返せ、コラ


「えー!えー!じゃあ姫祇は世界樹のなんなの?」
「・・・姫祇さんは「だから若ーーーーっ!!」

マリカとチィリカに姫祇(?)が腕を振るって怒る
その腕が丁度肩をバシバシと叩くので仕方なくシュネィヴァは姫祇(?)の腕を掴まえた

こんな娘が世界樹と密接な関係とは俄に信じ難い
一体コイツは何なのだろう?


「うー!シュネィヴァさんはーなーしーてー!」
「若、もう少しで説明しちゃうから待っててね」
「じゃあ教えるね!」




「姫はね、世界樹そのもの
世界樹の一部から産まれたの」



「・・・世界樹、そのもの?」

「そう、僕達がこの世界にやってきた時船の傍に世界樹の根があったんだ」
「んで、その根の一部が急にボコッて取れちゃってさ」
「それが甲板に落ちてきたと思ったら人の形になった」
「それがね姫なの!それで!今は私達と一緒にいるんだよ」


テュリ・キル・レク・ミナカが順に彼女の説明をする

シュネィヴァ達は互いに顔を見合わせた
姫祇があまりに想像を絶する存在過ぎて理解が追い付かない
三人はそんな少女を見て、迷いの色を顔に浮かべた


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