第十話・未知の世界へご招待・


「う〜・・・よがっだね〜シュネィヴァ〜」

「マリカ、顔が大変なことになってるぞ・・・」

マリカは未だ顔面をシュネィヴァの胸に押し当てて、涙こそ見えないものの鼻水グシャグシャに涎が少しと、まぁみっともない姿だった


「てか包帯濡れるじゃねぇか!いい加減離れろ!」
「ひどいよシュネィヴァ!どれだけわたしが心配したと!」
「それとこれと話は別だっ!お前の気持ちは快く受け取ってやるから離れろ!」
「うわ〜ん!シュネィヴァがいじめる〜!」
「友達の愛は受けとるべきだよシュネィヴァさん!」
「だから受け取ってやる・・・・・・え?」

突如加わった第三者の声にシュネィヴァは振り返る

マリカに気を取られたせいか、いつの間にかシュネィヴァの首に姫祇が腕を回し背中に張り付いていた


「・・・何でお前までくっついてるんだ」

「え?私もシュネィヴァさんが心配で心配で堪らなかったからだよ?」

「も〜、何当たり前のこと聞いちゃってるの?シュネィヴァ」

「お前等二人とも離れろぉ!!!」

「「キャー!」」


無理矢理引き剥がしてやったら揃って嬉しそうな悲鳴をあげて加害者同士抱き合っていた
確信犯め・・・!



「ちょっとーぉ!姫に乱暴しないでよ!」

怒気を含んだ声で少女が近づいてきたのはそれと同時だった

橙色の髪を煌々と輝かせた少女はシュネィヴァの隣で仁王立ちになる

それに続き

「やめなよキル、半分は姫が遊びでくっついたのもあるんだから」
「それに遊んで貰えて姫喜んでるよ!」

更に二人、こちらに近づいてきた
一人は見覚えがあった
蒼い小人だった少年
もう一人は姫祇と同じ黒髪に紅い小人(レク)と同じ碧の瞳の少女


「ねー姫、嬉しかったよね〜」
「うん!皆仲良し!楽しいの〜!」
「はぅん!姫もミナカも抱き締めたいくらい可愛いっ!!」

姫祇が満点笑顔で答えると橙が急変してきゅん顔で悶え出した
なんだろう、犯罪臭が


「さぁて話し合いを始めるべか〜」

「・・・話?」

賑やか一団に紅い小人(レク)とチィリカも加わり、何やら仕切り始める
・・・が


「こら変態!
何勝手に指揮してんの!」
「変態じゃない紳士だ
だって他に進行適役者はいないだろう?」
「黙れ万年運動不足!
キミが進めたら絶対まともに進まないでしょ!」
「ちゃんと適量運動しとるわボク男
少なくともお前には出来ん我慢しやがれ」
「なんだっ「はい、じゃあ話を戻すね」


軌道修正と二人の歯止めを行う蒼い少年
慣れてる
てか口頭で罵りながらちゃんと話が通じてるのが凄いと思う紅と橙
結構気が合うんじゃ・・・

「そこっ!今思ってもないこと想像してないだろうなっ!」

いけない
紅は読心術を使えることを忘れていた



「じゃあ姫?僕等の紹介をお願いできるかな?」

「はーい!お願いされましたー!」

蒼い少年の言葉にハイテンションで返す姫祇


「こんな奴だったか?」
「何か素に戻っちゃった感じ?」
「・・・リミッターが解除?」

三人で姫祇の豹変ぶりを囁き合う
マリカもチィリカものってくれるから嬉しい

そんなで姫祇が張り切って四人の紹介を開始する

「はいっ!まず姫とお揃いな黒髪のミナカだよ!いつも斧を持ってるの!」
「よろしくね!」

始まりから斧とはなんとも物騒な


「次に!紅い小人さんことレク!杖持ってるんだ!」
「ども〜」

普通だ


「次に次に!癖毛ちゃんのキルだよ!可愛い人が大好きなんだ!」
「そんな紹介してる姫もとぉっても可愛いよっ!!」

犯罪臭が・・・っ!


「最後に!皆のお兄ちゃん蒼い小人さんことテュリ!大剣持ってるの!」
「姫、武器を紹介に入れると物騒だからやめようね?」

常識人だ


「以上!でぃっすだー紹介コーナーでしたっ!皆仲良くしてね!」

「姫、でぃっすだーって間違えてるぞ」

「あれ?」

レクが姫祇の頭を抑えて紹介終了

でぃっすだー(間違えてるそうだが)という集まりの四人組は笑って友好を示してきた



「んで?話ってのは紹介だけなのか?」

「おっと鋭い!流石噂の頭領!話早いね〜」

「聞くと決めた訳じゃねぇぞ」

警戒心を強めて睨む
こちらは相手について知らないことが多すぎて、慎重にならざるおえない
テュリが優しく笑う

「うん、君の対応は正解だと思う、だからこそ聞いてもらいたいな」

「・・・・・・」

「まぁこのまま睨み合いも困るし、とりあえず聞くだけ聞いてよ!」

ねっ!と首を傾げるキル
でもとミナカ

「ここだとちょっと話せないから、私達の船まで来てもらえるかな?」

「・・・船?」

眉を潜める三人を見て、四人組はただ、微笑んだ

「では!三名様ご案内ー!」

「「・・・・・・」」

姫祇の声がやけに響いた

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