ライン

恋せよ乙女


仕事を終え山を降りた一同はすぐにバンエルティア号に迎えられた


「はい!お疲れ様
その様子だと上手くいったみたいね」
「うん!結構スムーズだったよ」
「これくらい普通よね」


シングの報告にやっとアスベルの支えを無くしたティスが虚栄を張るように言う
しかしアンジュには通用してないらしく彼女は笑顔のままで

「慣れないことで疲れてるみたいだし今日はしっかり休んでねティス」

と念押しされた
俯くティス

アスベルとシングはその様子を見て小さく笑った


「お帰り・・・ティス」

報酬を受け取ったところを見計らってロキがてくてくとティスに歩み寄る
ティスもすぐ彼に近づきその腕にギュッと飛び付いた
「あぁ無茶をしてたんだな」とアスベルは内心苦笑いをする


「お仕事、できた・・・?」
「うん」
「・・・疲れた?」
「うん・・・」
「・・・ご飯食べよっか?」
「うん」

短い会話で食堂に歩き出す二人
シングは二人の後についてそのまま食堂に向かうことにし、アスベルはとりあえずソフィに顔を見せようと船倉へと降りていった



「あ!お疲れ様〜!」

夕飯で賑やかな食堂
真っ先に話し掛けてきたのはミナカだった
満天の笑顔で二人を迎えてくれる
その裏にはお決まりの面々

「お疲れ様!今日はクレアのピーチパイがデザートに付くらしいよ」

楽しみだねとこちらも笑いかけてくるテュリ

「ホラホラ座りなよ二人とも!お隣にドゾドゾ〜♪」

とおかしなテンションで手招きをするキル

「いいや、やめた方がいいぞ?絶対に襲われる・・・」

とキルにつっこむレク

ディセンダー一同が席について二人を待っていた


「えっと・・・」

まだ四人にティスのことを話していないロキはその場に立ち尽くす・・・が

「あぁティスの事なら皆知ってるから、説明しなくても大丈夫だよ」

というテュリの言葉にロキとティスは目を丸くした

「どうして・・・?」
「おいおいロキ君よぉ・・・コチラには樹と仲良く会話できる姉様がいらっしゃるんだぜ?」
「ルミナシアの世界樹がね?あらかじめお話ししてくれたんだよ!だから皆知ってるの♪」

誇らし気に話すミナカを見てロキは安心した
少なくとも四人はティスのことを快く受け入れてくれているらしい
ティスの方もディセンダーということで警戒心はないようだ

・・・まぁ若干一名馴れ馴れしすぎるのがいるが


「んふふ〜♪ティスちゃんも可愛い〜♪二つの編み編みもすっごく似合ってるし!今すぐにでも・・・」
「キ〜ル〜?食事中は慎んでよ?」

ハァハァと恍惚状態のキルをテュリが呆れ顔でたしなめる
見慣れすぎたやり取りだが標的に入ってるロキとティスからすればいつ襲われるかとヒヤヒヤする光景だ
とりあえず二人はキル側でなくレク側の空いていた席に座った
途端キルから「えーえーえ〜」という残念そうな叫びが上がる

「ふわん!こっちにおいでよ〜カムカム!」
「はいキル〜食事中は静かにしようか」
「んぅ?ご飯の時って喋らない方がいいの?」
「姉さん、喋ってもいいけど限度があるのさ」
「何なの?何で私あんな人に標的にされてるのよ?」
「大丈夫・・・だよ、ティス」

とまるで伝言ゲームのように言葉が続くディセンダー組
部屋に居合わせたものは相変わらず息がピッタリだなぁと半分感心してたとか

「はい、ティス様、お食事をどうぞ」
「えぁっ?どうも・・・」

その間に素敵コンシェルジュ・ロックスが全員に食事を配膳する
美味しそうな匂いにティスのお腹はくぅと空腹を訴えた

「うわーい!じゃあいっただっきまーす!」

と喜んで食べ出したのはミナカ
他五人も各々食事開始の言葉を言って食べ始める
ロキも周りと同じタイミングで食べ出したのを見て

「いた・・・だきます」

と小声で言いながらティスも遅れて一口目を口に運んだ


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次でやっと最後です

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