ライン

初仕事


ティス―ラザリスの欠片から生まれた意識体
元々フィスの体の奥底で世界を観察するためにラザリスが遣わしたものだったが、ある日突然意識の主張を開始
なんと無理矢理フィスの体を乗っ取り動き出したという
幸いロキだけは信用していて現在、彼にベッタリ
普段と逆の姿が群衆に披露されている


「・・・って乗っ取った!?それでフィスは大丈夫なの?!」
「あ・・・うん、今は眠らされてる・・・みたい」

話を聞いたシングのフィスの身を案じる質問に即答するロキ
それを聞いた一同は皆一様にホッとした
一名、ちょっと悪者っぽく扱われてるみたいなティスを除いて


「ティス・・・皆に挨拶・・・しよ?」
「嫌よ!何で私がこんな奴等にのんびり自己紹介しなきゃいけないわけ?!絶対イヤ!」
「なんかとことん正反対だな、性格も言葉遣いも」

ティスの反応を見てスパーダが溜め息を吐いた
その場をなだめるようにはいはいという声と同時にパンパンと手拍子が上がる
手を叩いたのはアンジュだ、彼女にも話した方がいいということで一同は今ホールにいる

船倉での騒動とフィスの身に起こったことについての説明を聞き終えてからアンジュは改めて少女を見つめた

「事情は大体わかったよ、ところでロキ、彼女は仕事とか大丈夫なのかな?」
「特に・・・問題はない・・・と、思う」
「そう、それじゃあ大丈夫そうね」

ロキに確認をとってからティスに向かって声をかける

「えーとティスさん?初めまして、でいいのかしら?」
「・・・どうも」
「うん、じゃあここの説明をするよ、ココはギルドで・・・」
「船に乗ってる奴は全員働かなきゃいけない、でしょ?知ってるわそれくらい」
「あら、話が早いのね助かるわ、そういうわけで貴女にはフィス同様しっかりお仕事をしてもらうよ?」

ニッコリと聖女が輝きに満ちた微笑みを見せる
しかし船員達はその笑みの中に潜む黒い部分をしっかり感じ取っていた
ロキを除いて
首を傾げ同意を求めるアンジュをティスは真正面から睨む

「・・・私はルミナシアを・・・この世界を観察したいだけ、べっ別にそのオマケでちょっとくらいなら仕事を手伝ってあげてもいいわよ?」
「本当?じゃあ決まりね!」
「っでも!コイツらと一緒に仕事はお断り・・・「それは却下ね
ここにはここのルールがあるのよ?働いてもらう以上、ルールには従ってもらわなきゃ」
「何それ!?だったら手伝わない!!」
「ダーメ!さっき決まりって言ったもの決定を後から取り消すのはナシよ」
「何よそれ!信じらんない!」

『相変わらずアンジュの話術は巧みだなぁ・・・黒いぜ』
『だからこそリーダーとしてしっかりギルドを運営できるのよ〜世渡り上手ってやつね』

「そこ?なんの話してるのかなぁ?」
「「いえ!何も!」」

ウフと無邪気な笑顔で周囲を黙らせるアンジュ
「僕達はあの時、確かにリーダーの背後に黒いオーラを見ましたby一同」

「はい、じゃあ早速仕事をしてもらうからね?
今日の依頼はルバーブ連山で間引きよ
同行者は・・・そうね、シング君とアスベル君にお願いしようかな」


大丈夫?と確認するとシングは「OKだよ!」と元気よく返事をした
ティスは微妙な表情で床を睨んでいる

「それじゃあ二人でアスベル君を呼んでキリキリ働いてきてね♪報酬は弾むから
行ってらっしゃい」





「へぇそんな事が・・・」

数体目の魔物を倒し残り半分のところで一旦休憩となった時間にアスベルはシングからティスについての説明を受けた
彼女は今僧侶スタイルで二人から少し離れたとこに腰を下ろしている


「つまり外見はフィスだけど中身は全く違うのか・・・なかなか難しいな」
「うん、でも仲間であることに変わりはないし早く仲良くなりたい・・・だけどなぁ」
「微妙な距離感だな・・・」

二人にそっぽ向いてティスはどこか分からない景色を見ている
戦闘中も援護してはくれるが合図を送ろうにも目は合わせないしたまに回復は遅れるしで危ない局面もあった
正直このままだと大怪我に繋がるかもしれない

意を決してアスベルはティスに近付いていった
それを見て微かに身構えるティス

「挨拶が遅れた、俺はアスベル・ラント
これからよろしく」

軽く微笑んでアスベルは手を差し出すがティスは彼を睨み付けたまま動かなかった


++++++
微妙な切りでスミマセン
続きます

- 332 -


[*前] | [次#]
ページ:





戻る







ライン
メインに戻る