ライン

小さな話し事


「でさっ!ゼロスのやつまたコハクに蹴りをお見舞いされてたんだ!
本っ当懲りないよな」


思い出したのかくくっと笑いを堪えるカイウス
聞いているルカも控えめだが微かに口を緩めた


「そうだよね、コハクのキック・・・すごく痛いらしいのに・・・
ある意味ゼロスってすごいのかもしれないね」

「でも流石に学習するだろ〜、ロイドも呆れてるしさ」


「あ、二人とも何してるの?」


楽しそうに語らう様子が気になったように二人の元に特徴的な癖毛を持つ少年―エミルがよってくる
するとカイウスは顔を輝かせてエミルに向き合った

「エミルいいとこに!今さルカにこの間ゼロスがかくかくしかじか・・・って話しててさ!」

「へぇ!そうなんだ」

「ある意味ですごいと思うんだけど・・・エミルはどう思う?」

「ぷっ・・・まぁ確かにゼロスのそういうところは・・・僕もすごいと思うかも」

「本当だよなぁ!ぷふっ、あの時のこと思い出したらまた笑えてきた・・・」

けらけらと笑うカイウスと共にその様子を想像した二人もクスクスと笑い出す


「ふふ・・・あ!そういえばカイウス、今日の夕飯マーボーカレーらしいよ
確か好物だったよね?」

「うおっ!本当か!!
マーボーカレー今から楽しみだな〜」

へへへ〜と無邪気に喜びを表にするカイウス
その隣でルカが不意に「そういえば」と疑問を口から出した


「コハクって何にでもミソをつけて食べるけど・・・カレーにもミソ入れるのかな・・・?」


沈黙


「・・・カレーにミソって合うのか?」

「どうだろう・・・辛いものに辛いものを入れたら大変なことになるんじゃないかな?」

「あ、でも前にどこかで辛いものに別方向の辛いものを加えると味がマイルドになるって聞いたことあるよ?」

「でもミソかぁ・・・俺はマーボーカレーはマーボーカレーのままでいいと思うけどな・・・」

「まぁ・・・食べ方は個人の自由だけどね・・・」

渋い顔をするカイウスにエミルがミソラーを代弁するように呟くが彼の表情は冴えない


「ミソなぁ・・・キュウリにつけて食べるのは上手いんだけど」

「あ、うん!あれは美味しいよね
キュウリの瑞々しさにミソがよくあってて」

「お?エミルも好きなのか?ミソつけたキュウリ
アレは特に冷やして食べると旨いよなぁ!」

「うんうん!」

気を持ち直して話し出すカイウスにエミルが笑顔で同意する
が、ルカは何故か不思議そうに首を傾げていた


「えっと・・・キュウリってミソをつけると美味しいの?」

「ん?何だルカ?もしかしてミソつけたキュウリ食べたことないのか?」

カイウスの質問にルカは少し恥ずかしそうに「うん・・・」と頷く
カイウスはそんなルカを珍しそうに見ていたが暫くしてあぁと納得するように頷いた


「そういえばルカって育ちがいいんだっけ?だから食べたことないのか」

「う〜ん・・・関係はないと思うけど・・・でも食べる機会はなかったかなぁ・・・」

「じゃあ今度一緒に食べようよ?ミソならコハクに少し分けてもらえるだろうし」

「おぉ!それいいなぁ!
ロックスに何本か買ってきてもらえるよう頼んでみようぜ!」

「わぁ・・・楽しみだな〜」


未知の体験を楽しみにするルカを見て気を良くしたカイウスはその後キュウリは一本丸ごとだの、どのくらい冷やせばいいだのと語りだし、エミルはそんなカイウスに相づちをうちながら笑っていた



「お、そろそろ時間だ
じゃあ俺ちょっと用事があるから行ってくるな」

「依頼?」

「あぁシング達と一緒にな、んじゃ!また後で」


元気に手を振ってカイウスは歩いていった
彼が去るとエミルが思い出したように「あ、」と呟き申し訳なさそうな顔でルカに話しかける


「ねぇルカ、この後・・・空いてる?少し手伝ってもらいたいことが有るんだけど・・・」

「別に空いてるよ
何の仕事?」

「ポッポが防具を船内に運ぶ手伝い、結構重いし疲れる仕事なんだけど・・・」

頼みづらそうに眉を下げるエミルだがルカが「大丈夫だよ」と頼みを承諾してくれると途端に顔を輝かせた

「え?いいの!」

「うん、僕(毎日大剣を振り回してるお陰で)少しだけなら重たいものも持てるし・・・それに複数人でやっちゃった方が早く終わるし」

「ありがとうルカ!じゃあポッポも待ってるかもしれないし、行こっか?」

「うん」


互いに微笑みを浮かべながら歩き出す二人
彼等を見たある少女は
「楽しそうに笑うエミルもかっこいぃ・・・」
と恍惚とした表情で話したとか


数日後
ロックスが買ってきたキュウリを三人が楽しそうに食べているところにスパーダとイリアがルカをおちょくりに来たのはまた別の話





++++++
マイソロ3では絶対仲良しだと思う自分
ルカとエミルがほのぼのしてカイウスが元気にはしゃいでくれたらいいと願う

- 336 -


[*前] | [次#]
ページ:





戻る







ライン
メインに戻る