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ぐちゃぐちゃ本心


胸の中がぐちゃぐちゃする

すごく気持ち悪い、こんなの嫌、どこかに放り投げて捨てちゃいたい


何であたしこんな気持ちになってるの?
こんな惨めな気分を味わわなきゃなんないの?

ルカのせい
全部全部、このぐちゃぐちゃしたもの全部ルカのせい

大体アイツがはっきりしないのが悪い
愚図で、べそかきで、言いたいことすら言わなくて
さっきだって仕事終わりに何か言ってきたそうにしてて、それなのに何も言わなくて
モジモジしてる姿にイライラして「何?」って思い切り睨みながら言ってやった


そしたらルカはすごくすごく悲しそうに顔を歪めてこっちを見てきた


そしたら胸の奥の方がズクンって痛んで、こっちが悲しくなってきた

おかしい
何であたしが傷ついてるの?
いつもならあんな顔見たら面白くなっていじめて、ルカが泣き出す頃に謝って終わりなのに

いつも見てる顔なのに
どうしてこんなに苦しくなるの?


そんな自分に訳がわからなくなって
ルカと一緒にいるのが辛くなって思わず逃げ出してしまった

走って、走って、疲れ果てたところで座り込んで体を小さくした

そんな自分がすごく惨め


痛い、苦しい、悲しい

全部ルカが悪い

どうしてあたし何だろう?

最近は医者になる勉強ってアニーとよく一緒にいる
その姿がとてもお似合いで、このままくっついちゃえばいいと思う
アニーは大人しいし優しいし芯も強くて皆から信頼されてる
それに可愛い
あたしなんかと比べ物にならないくらい

アニーだってルカに悪い感情は抱いてないはずだし
二人で一緒に医者になって一緒に頑張ればいい

それにアニー以外にだって素敵な人は一杯いる
ティアやミントなんていかにも女性って感じで綺麗だし、同年代ならルビアやマルタはすごく可愛い

なのに、なのに・・・




「イリア、ここにいたんだ」

変声期を迎えていない聞き慣れた高い声が頭上から降ってくる

どうして来るんだろう?

ほっとけばいいのに
ほっといてくれればいいのに

惨めな顔がアイツに見えないように体を丸める
すると頼りない弱々しい手がびくびくしながら頭を撫でてきた

そんな慰めがまた痛い
だけど同時に安心してる自分もいる
独りにしないでと
どこにもいかないでと震える臆病なあたしがルカの行動に喜んでいる


こっちに来ないで
離れないで

触らないで
もっと撫でて

声をかけないで
名前を呼んで

色んな気持ちの矛盾がまたぐちゃぐちゃと胸の中で暴れる
でもそれもほんの少しの間のこと
ルカが優しく頭を撫でてくれる度にルカを突き放したい気持ちの方が消えていく
全部、全部放り投げたみたいに消えてく

静かに顔をあげると思ったより近くにルカの顔があった
綺麗な翠があたしを見てる


「ホラ、戻ろう?」

そう言って頭を撫でていた手が今度は目の前に差し出された
ルカは笑ってた
だけど眉毛は自信なさげに下がってるから差し出されてる手もどこか弱々しく見える


だけどあたしはその手を握る
甘えん坊でどうしようもないあたしはルカの小さく差しのべられた手をとる

するとルカはちょっとだけ頬を染めて「じゃあ行こっか」と言って立ち上がった
あたしも一緒に立ち上がる


先導者は気弱な少年
がさつで可愛いげの欠片もないあたしに想いを寄せてくれてる男の子
弱いけど、だけど確かに繋いでる掌はあったかくて、優しい



彼の想いがずっと変わらなければいいのに

そうだったらこんなに怖がらなくて済むのに

零れそうになった涙を
唇を噛んでぐっと堪えた






++++++
難しい・・・
多分ルカへの意識が芽生え始めた頃かなと
ツンとデレがぶつかり合ってる感じ
あー難しい

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