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普通高校一年一組



「しーちゃん!しーちゃん!好きー!」


「・・・優利は素直だなあ」

ぴとぴとと梓緒にひっつく優利を見て光太はそんなことを溢した。


「そうだね。素直なとこはゆぅの美徳」
「・・・・・・///(ポッ)」
「お〜い優利〜性別間違えてるぞ〜」
「ハッ!?も、もぅしーちゃん!そうやってかっこいいばっかなのは反則だよ!!」
「そう?ボクはむしろゆぅが可愛すぎる方が反則だけどな・・・くす」

「リアル充実はよそでやってくれ」


二人の世界に突入しそうなところにげんなりとした光太がつっこむ。優利は意味がわからなかったらしく首を傾げているが、梓緒は笑顔で優利の頭なんかを撫でている。確信犯・・・!

「んー・・・よくわからないけど、光太君もりあるが充実したいの?」
「なんでそうなんの?!んー・・・まあリアル充実なんて誰もが望んでることだけどさ・・・」
「だったら充実した方がいいよ!ね、しーちゃん」
「ゆぅは本当に無垢だよね」
「ああ・・・自分が人を傷つけてるだなんて知らないんだ・・・!」
「???」


「まあそれは置いといて・・・光太は付き合ってる子はいないの」
「・・・・・・えー・・・」


梓緒の問いに即答できない。正直、彼女との関係はなんと言えばいいのか・・・間違いなく彼氏彼女とは違う気がするし。


「・・・なんと言いますか」
「えぇ?しーちゃん何聞いてるの?光太君彼女さんいたじゃない?」

「「え?」」

「えー?」

優利の発言に二人して目を丸くする。

「・・・ゆぅ、どういうこと?」
「だってこの前出掛けた時に光太君が女の子と歩いてるの見たでしょ?僕何も言わなかったけどさ」
「・・・覚えがない」
「ちょちょちょ・・・ちょっと待て優利」


首を捻る梓緒を横目に光太は優利の手を引く。彼を自分の方に寄せると内緒話の姿勢で彼に尋ねた。

「えっと・・・その、オレを見たっていうのいつ?」
「んと・・・先週の日曜日」
「み・・・見間違いじゃなくて・・・?」
「やだなあ、僕少なくとも同じクラスの人は絶対に見間違えない自信あるよ!
あ、でも光太君珍しい格好してたよね!ふわふわした服で、そういえば髪の毛長かったような・・・」
「うわあああぁぁぁ!!!」


先週の日曜日。その日は確かに比奈と出掛けていた。ただし、約束上オレは女装して。


見・ら・れ・て・た!


しかもバレてる!

クラスの友達に、そんな姿を見られたことが恥ずかしい!
他にも見られてたりするのか!?


が、よくよく考えたら梓緒は優利が目撃した時一緒にいたという。なのに彼女は首を捻っていた。梓緒は目が悪い訳じゃないから、もしかしたら優利にしか分からなかったらしい。


「ゆ、優利。これは内緒だ」

声を潜め、優利の肩を強く掴む。

「他の誰にも、その日見たことを言っちゃ駄目だ」
「んー・・・誰にも?」
「そう」
「・・・わかった!」


ぱあと満面の笑みで約束してくれる優利。
そのことにホッと胸を撫で下ろすが、いずれ梓緒にはバレるんだろうなという予感は、どうしても心に残った。







「僕もたまに女の子の服着るんだよ!」
「・・・・・・え?」


身近なところで同類を見つけた瞬間だった。






++++++
この子達が一番ほのぼのしてて描きやすいです。
ゆぅは女装になんの恥じらいも持ちません。そのまましーちゃんとお出掛けにだっていけます。

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