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おかしな二人13
「あれ?君一組のクラス長だよね?」
保健室に入ってすぐそう話しかけてきたのは穏やかな空気を纏った上級生。よく知ったその顔に思わず背筋を伸ばしてしまう。
「はい、そうです!」
「ははは!こんなところでなに緊張してるの?」
「そりゃクラス長だったらお前の影響力強いだろう副生徒会長?」
明るく笑う副生徒会長こと相沢先輩にそう言ったのは、眼鏡をかけた上級生。こちらの人は顔も名前も知らない。
「保健室に来たってことは具合でも悪いの?」
「あ・・・えと、そんな感じで・・・相沢先輩も、ですか?」
「ううん。おれはこれのただの付き添い」
「酷いぞ相沢。俺本気で指痛いのに」
「自分で暴れて自分で突き指したんだ。それで十分だろ桜庭」
ぶーぶー文句を言う人はどうやら桜庭というらしい。なんだかどことなく子供っぽい雰囲気を感じた。
「今保険の先生いないんだ。熱計る?」
「いえ・・・熱はないと思うので」
「そっか。でもなんとなく青い顔してるなあ・・・寝不足?」
「・・・もあるかと」
親しいわけでもないのに、こちらを心配してくれる相沢先輩にちょっと申し訳なくなる。
大人しくベッドにもぐろうと思ったと同時に、ガラリと光太の真後ろにある扉が開いた。
ゾクリ。
なぜか背中に悪寒が走る。
「あれ?どうしたの彰?風邪引いた?」
「・・・・・・」
「はせぴょ〜ん。そんなに睨んだらいくら背中にでもそこの後輩さん倒れちゃうぞ〜」
ふっと空気が動いて鋭い気配が隣にくる。ぎこちない動作でそちらを見ると、新たに入ってきた人が見知った・・・いや、学校の誰もが知っている人物であることがわかる。
長谷川生徒会長。
我が高校のトップであるお方が、なぜか見下ろすようにこちらを睨んでいる気がする。こ・・・怖・・・!
「・・・一年の三ヶ谷か?」
「はひっ!!」
長谷川先輩に名を呼ばれ全身が跳ね上がる。まさか一クラス長まで把握してると思ってもないし、未だに睨まれている気だってする。
ガタガタと足が震えた。
「へぇ三ヶ谷っていうんだ君。彰は覚えてたのか?」
「・・・一応各クラスの長副の名前は暗記した」
「生徒会長パネェなあ・・・ってところでその射殺す視線外してやれよ。三ヶ谷君可哀想だろ」
「黙れ明・・・」
桜庭先輩の、どうやらオレを思って言っている言葉を長谷川先輩が切り捨てる。すると桜庭先輩は肩を竦め諦めたように微笑んで・・・。
「GO相沢!向かえはせぴょんの広い胸!」
「ハイ?」
勢いよく相沢先輩の背中を突き飛ばした。
「・・・巧」
「へ?はえ?」
そしてなぜか長谷川先輩は相沢先輩を手招きしている。
ポカンと眺めていたら桜庭先輩がそそくさと寄ってきてオレの背中をぐいぐいベッドの方へ押しやる。
「ワケわかんないな、ごめんな〜今日は何も見なかったと言うことで恐怖体験を忘れることを俺はオススメするよ。うん」
「はぁ・・・?」
よくわからないことを言われ、よくわからない内にベッドに放り込まれる。そして手早く布団をかけられカーテンを閉められた。
何だったんだろうか。
よく分からないがカーテンの向こうからガラリと扉を開ける音が聞こえたので、多分先輩達は教室に戻っていったのだろう。
よく分からないが・・・。
「・・・寝よ」
深く考えるのはやめて、眠ることにした。
脳裏に一瞬蘇った姿に、チクリと胸が痛んだ。
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