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おかしな二人12



休日の二日を挟めば大丈夫だと思ったんだ。


「うっわ!光太お前なに死にそうな顔してるんだよ!?」

つくづくオレの考えは甘いと痛感した。




「光太君大丈夫?あ、大丈夫じゃないか・・・ねぇ大丈夫?」


机向かいから小さく顔を出すようにして、こちらを伺うように問いかけてるようでそうでないような言葉を優利がかけてくる。

ちなみに、今傍にいるのは優利だけだ。
他は距離を置いてこちらを伺うだけ。どうやら優利の癒しオーラでオレを癒そうとしているらしい。
だからって遠くから様子を見られるのも気になるんだが・・・。


「あー・・・本当に大丈夫なんだ優利」
「ほんと?あ!でも光太君たまに無茶隠そうとするからほんとは大丈夫じゃないんでしょ!ねぇ大丈夫・・・?」

うるうるうる・・・優利の大きな瞳が切なそうにこちらを見つめる。
ああ、なんかオレが泣かせてるみたいで罪悪感が半端ない。頼むからその小動物さながらの弱々しい訴え方やめて。実は威力がすごいんだぞ。



「そこまでだよ。三ヶ谷が困ってる」

そう助け船を出すようにこちらに近づいてきたのはクラスメイトの少年・・・みたいな少女。

「でもしーちゃん・・・」
「心配なのはわかるけど、それでゆぅが泣いてもおかしいでしょ」

ポンと優利の頭に手を乗せ撫でるのは、彼が大好きで堪らない幼馴染みの遠音梓緒、愛称「しーちゃん」。

彼女は、イケメンです。

今は学校だから制服を着てるし、足も細いから少女に見えるが・・・顔は男女共に認める好ルックスの持ち主だ・・・少年な意味で。
一度だけ、優利と梓緒が一緒に出掛けている姿を見かけたことがある。
私服だと完全に美少年だった。
それに梓緒は性格も男らしい。一人称も珍しい「ボク」。

富岡優利と遠音梓緒。

一年一組の名物幼馴染みップル。


「ま・・・ゆぅじゃなくても今の三ヶ谷は心配になるけど」
「ほらほら!しーちゃんもそう言ってる!光太君悩みならなんでも聞くよ!」
「えー・・・」

正直なんと申せばいいのやら。答えに窮していると、不意に梓緒の手がのびてきて額に触れる。じっと様子を見てくる鋭い眼差しがかっこよくて不覚にもドキッとした。男なのに。


「熱はないようだけど・・・保健室で休むことをボクはおすすめするよ?」
「そんな・・・別にオレ自身は調子が悪いわけでもないしさ・・・」
「風邪は引きはじめが肝心だよ光太君!」

優利。お前の説得はどこかでずれてる。
それが可愛いからって梓緒、お前は優利を慈しむように頭を撫でるな。それで優利が調子乗ること知ってるんだろう?

「さあ光太君!保健室にゴーだよ!大丈夫!僕が責任持ってつれてくからね!」

ほーらーみーろー・・・。


爛々と瞳を輝かせ、なぜか頬を紅潮させながら優利がオレの手を取り歩き出す。当たり前のように一歩下がってついてくる梓緒。
クラスのみんなは手を振ってオレを見送る。みんな知ってるんだ。畜生、覚えとけ。



そうしてオレはバカップルの甘々した空気に挟まれながら保健室に送られた。





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