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勘違い2
「はい?」
とか思っていたら話しかけて彼の気を逸らしてくれる。
お兄ちゃんはわたしの敵なの、味方なの?!と胸の中で叫んでいたら案の定、お兄ちゃんは爆弾を投下してくれた。
「さっきオレ遊園地の方を歩いてたんだけどさ、確かミヅキ君を見かけた気がするんだ。
えっと・・・観覧車の近くだったかな?」
何だって!?
メイは顔を上げて、でも声は出せぬまま口をパクパクさせてトウヤを睨む。が、効果はなく話は続く。
「観覧車に乗ったりしたの」
「はい!今日もいい眺めでしたよ!」
「へぇ、それはいいな。でもあそこ二人乗りだけど友達と乗ったの?」
「あぁえっと、友達というより知り合いです。チアキさんって言うんですけど」
あぁ止めてミヅキ君。わたしこれ以上は堪えられないよ。好きな人の口から知らない女の人の話なんて。
「さん付けで呼ぶってことは・・・年上?」
「はい。そうですよ?」
ミヅキ君は年上が好みなのね!わたしには希望がないのね!
「以外だなぁ、ミヅキ君って実は・・・」
「え・・・あ、そんなんじゃないですよ!?ストレス発散の付き合いです!チアキさん遠くない内に出産ですし!」
「・・・・・・え?」
・・・・・・え?
「え?」
固まる辺りの空気。
作り出した本人はおろおろとし、隣の少女は目を見開いている。
その状況でも冷静なのがトウヤだった。何事か呟き頷くと、改めてミヅキに向き直る。
「ストレス解消の付き合い・・・じゃあチアキさんってもしかして妊婦さん?」
「は・・・はい、はいそうです。思うように動くことがなかなかできなくてストレス溜まっちゃうらしくて」
「妊婦・・・さん?」
つまりチアキさんって人はすでに結婚してる人?
してなかったとしても付き合ってる人がいるってこと?
じゃあ、じゃあ・・・。
『早とちりだったね』
ボソッと兄が自分にだけ聞こえる声で囁いてくる。
顔がカッと熱くなるのが分かった。体が勝手にプルプルと震える。
「あれ?メイ・・・?震えてるけどどうかした?」
「いやぁ、ちょっと早とちりを・・・」
「ミヅキ君っ!!(ガタァッ!)」
「ぅはいっ!?」
思わず立ち上がってミヅキに向き直る。
顔が赤いだろうけど気にしない。勢いは止まらない。
「今日この後何かあるかなっ!」
「え?あ・・・別になにもないけど?」
「じゃあじゃあ!わたしとも一緒に観覧車乗ってくれないかなっ!!」
「一緒に?うん、いいよ」
「ありがとっ!!」
もう半分自棄になりながらぐっとミヅキの手を掴む。
冷静になればなんてことをと思うが今は何も考えられなかった。
「じゃあ行こう!すぐ行こう!」
「うん、あ・・・」
「こっちは気にしなくていいから行っておいでよ。うちの妹がデートに誘うなんて滅多にないから」
「デート・・・!?」
お兄ちゃんが何か喋ったようだけど耳に入らなかった。
ミヅキをぐいぐい押して店の外に出る。
必死なメイは、顔を僅かに赤らめて何事か呟いているミヅキの様子に気づくことはできなかった。
「必死だなぁ・・・」
静かになった店内でトウヤはコーヒーを片手に一人でのんびりしていた。
先の騒ぎで多少白い目で見られたが、流石行きつけの店は妹の気性に理解があるようで、特に何も言われなかった。
「まぁミヅキ君の方も満更じゃない・・・かな?」
なんといったって彼は、自分がちゃかし半分で言った「デート」の単語に強く反応した。
お年頃というやつだろう。案外妹の未来は明るいかもしれない。
「・・・もしかして先越されたりするかな」
はぁと苦笑いを溢して外を見る。
自分の想い人が振り返ってくれる兆しは・・・全くと言っていいほどないことに落ち込みながら。
++++++
ミヅキ君は普通にお年頃な男の子なのでミヅ←メイは未来が明るいです。
トウ→コトはどこまでもコトハが鈍感でトウヤ君涙目です。
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