ライン

嘘吐きな君の夢を



蒼い空に漂う雲

白い窓枠に白いカーテン

白いお部屋に白い寝具


鼻を刺す薬品の香り、もう何年嗅いだだろう
数えるのも億劫だ


ふと顔を上げる

それは綺麗な少女

くりくりとした大きな藍の瞳
風に靡く美しい黒髪

細い手足
小柄な全身


正面に居座るのは細身の少年

栗色の髪に夜色の寂しげな瞳が静かに笑ってる



さぁ、今日も一杯話そうか


少年は語った

ナミダの美しさのお伽噺

狭い箱庭の純粋な小話


少女は語った

寂しい悪魔の物語

優しい異界神の叙事詩


紡ぐ唇
奏でる音階
夢見て膨らむ
双人の世界


行ってみたいな空の上

眺めてみたいな広い山

感じてみたいな海の営み


心の中は夢で一杯

これが私の夢なんだ

これが僕の夢なんだ


語る双人、交わした約束


何時か一緒に・・・・・・




だけどアナタは旅立つんだ

明るい地平線へ
限りない未来へ
手の届かない場所へ


最期にアナタは微笑んで

震える手で互いの指を絡めて

泣き出しそうな声色で奏でた

さようなら

ごめんなさい

大好きです

ありがとう

愛してます

さようなら


涙が溢れて、全身が震えて、大声で喚いた

アナタの胸にすがって"離れたくない"と喚く


だけど小さな命は旅立った

もうヒトツの命を置き去りにして


ありがとう

 ありがとう

大好きです

 大好きです

愛しています

 愛しています

さようなら

 さよう・・・


別れの言葉が紡げない

アナタに、アナタに送らなければいけない最後の言の葉


だけど・・・


だけれど・・・




離れたくない

離したくない

別れたくない

アナタと居たい

アナタをもっと愛したい

アナタをもっと感じたい

ごめん

ごめんね


ごめんなさい

ごめんなさい・・・!


悲しくて、哀しくて、愛しくて、切なくて、寂しくて、会いたくて、触れたくて、抱き締めたくて、口付けたくて、愛したくて、足掻いて、もがいて、苦しくて、痛くて、辛くて、叫びたくて、呟きたくて、奏でたくて、語りたくて、歌いたくて、詠いたくて・・・・・・羽ばたきたい


翼があればアナタの元へ飛んで行けるでしょうか?

だから掌を大空へと広げるのです




君との約束、覚えてますか?


何時か一緒に・・・







一緒に世界中の綺麗なものを見に往こう


私と僕の胸に収まりきらないくらいたくさんの想い出を


何時か・・・何時か、双人で探しに往こうね




幼い雫は今日も吟う

アナタへの思いがたくさん詰まった子守唄


静かな夜に藍色の光を

何時かまた・・・アナタと巡り逢えるように・・・





哀しい詩

幼い恋心

遅すぎる覚醒

何時の日の夢


少女は少年に嘘を吐いた
君が傷付かないように、祈りを込めて


少年は少女に嘘を吐いた

暖かな日々を終わらせたくないと、願いを込めて



双人の夢は何時か届く

流した雫が導いてくれる


だから今は・・・


お休み、愛しき人


幼き翼はまだ羽ばたけず

陸を離れることは難しい


だからアナタへの想いを胸に

今は眠ろう子守唄



さようなら大地

また会いましょう大海原

寂しんぼ原っぱ

降り立った





少女の世界と少年の世界と


交わるその日まで嘘つきな優しい夢を




++++++
途中が病んでる(笑)

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