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真っ白キャンバス


私の心の真っ白キャンバス。
記憶を描くための白紙のキャンバス。


嗚呼今日は嫌なことがあったわ。
描き出しましょう、黒いペン。
色をつけましょう、青の筆で。
塗り重ねましょう、緑と紅色。
塗り潰しましょう、紫・茶色。

キャンバスに描かれるのは私。私の世界。
世界に繋がっていた糸がぷっつんと、気味の良い音を立てて切れたわ。
「一緒に遊ぼう?」「うしろの正面だぁれ?」キャンバスに描かれたお化けのおばばが私に囁く。


嫌だ、嫌だ。
描き足して。

嫌だ、嫌だ。
塗り重ねて。

嫌だ、嫌だ。
嫌なんだ。

全てから逃げるように私は真っ白なキャンバスに飛び付く。

私の心は墨のように真っ黒!
嫌な気持ちで気持ち悪い。
喉に悲しさがつっかえる。

助けて、助けて。
真っ白キャンバス。

苦しい、苦しい。
無色のキャンバス。

悲しい、悲しい。
白紙のキャンバス。


もやもやとイライラでどうにかなってしまいそう!
だから私は思うがままに描くの。
私だけの白いキャンバス。


描きましょう。

塗りましょう。

まるで喚くように。

まるで叫ぶように。

心に溜まった苦痛の汚物を絵の具に、染まれ染まれ私のキャンバス。



キャンバスの中の私が笑う。

「苦しかったね、もう大丈夫」

キャンバスの中の私が怒る。

「何をしてるの!早く行け!」

キャンバスの中の私が泣く。

「寂しいよう、見捨てないで」


そして、


キャンバスの中の私が喜ぶ。

「ありがとう、貴方の作品(思い出)は大事に大事に仕舞っておくよ」



真っ白だった私のキャンバス。
今は真っ黒、カラフルキャンバス。

それをそっと戸棚に飾り、私は新しいキャンバスを取り出した。


私の心の真っ白キャンバス。





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精神が病んでた時の自分救済用文。
白い紙に思ったまま絵を描いてて思い付きました。

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