text | ナノ




さよなら、愛

ねえカナデ、どうしてそんな顔してるの。ねえどうして。どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして。わざわざ君に会いに来たんだよ、コトネちゃんに止められたけど一生懸命降りきったんだ。コトネちゃん、どうしたんだろうね。行っちゃダメだって泣くんだ。泣いてぼくを閉じ込めようとしたんだ。酷いよね。だって僕はカナデに会いたかったのに。会いたくて仕方なかったのに。だからね、振り切ってきたんだよ。振り払ってきた。そしたらコトネちゃん、すごく大人しくなったんだ。きっと僕の気持ちをわかってくれたんだよね。やっぱりコトネちゃんはぼくの最高の幼なじみだなぁ。

あ、もしかして気にしちゃった?心配しなくていいよ、コトネちゃんは幼なじみだけど、カナデは僕の恋人だからね。最高の恋人。愛してるんだ。世界中の誰よりも愛してる。カナデだってぼくを愛してるでしょ。ほらほら、照れなくていいんだよ。君がツンデレなのは知ってるけどたまにはストレートに愛情表現してほしいなぁ。


だからさ、そんな怯えた顔しないでよ。何でそんな目で見るの?まるで化物を見るみたいな…ねえカナデ…どうして…どうし……
………やめて、やめてよ!ぼくをそんな目で見ないで!!!ぼくはカナデを愛してるんだから君だってぼくを愛してるでしょ!!!ねえそうだろ!!!なあ、なあ、なあ!!!そうだろカナデ!!!答えろよっ!!!答えろっ!!!



「…ヒ、ビキ…愛して…いたよ…でも…今のお前は…」



……もういい。さよなら。



振り上げた『愛』は鈍色にきらめいた。




END






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -