輝きのその下で

17話 (19/25)

「趣味を持つのは悪くない話だが、あんたは戦いたいとは思わないのか?」


山姥切さんは用意した焼き菓子の最後の一つを食べ終えると私に話を持ち掛けてきた。
持っている湯呑を置いて空を見上げる。


「もちろん戦いたいです。仮とはいえ刀剣男士になったのですから…。」
「鍛錬はしてるんだろう、俺が相手する。」


私の前に立ち鋭いまなざしで言われる。
すると肩に重みが増したと思ったら和泉守さんが肩を組んできていた。
彼の笑顔からも伝わるように「俺たちも相手になる」そう言ってるようで
悲しいわけでもないのに涙が込み上げてきている。


「っ…ごめんなさい……そう言われたら、嬉しすぎて…なんて言ったら。」
「そう言うときは普通にありがとうでいいんじゃないですか?」
「強くなりたい、戦いたいって言うなら俺たちはいつでも相手になる。そうだろ?」
「…ありがとうございます……。その、この後相手していただけないでしょうか?」
「わかった。」「おう!」「はい!」


謙信公…私は今とてもうれしいです。
刀のままだった私は一度も戦に出ることはありませんでした。
ですが、ここに来て本当によかったです。
いろんな時代、いろんな主のもとにいた刀たちがこうやって肩を並べている。
貴方様方の歴史を守るために。
私もまだ時間をわたることは許されてませんが、戦う皆様のお力添えができる。


「いくぞ、」
「お願いいたしますっ!」


いつもの戦装束に着替え、稽古場にいる。今回は本体での手合わせが主からも許しが得られた。
機動が速い山姥切さんはすぐに私の間近までくる。
柳で重心をそらし攻撃を免れるが二撃目を防ぐことができず避けることで精一杯で腕にかすり傷が受けてしまった。


「っ!さすが…」
「まだ始まったばかりだ、戦では油断するな。」
「っふふ、わかってます。」

「…………。」
「どうしたの?兼さん」
「んあ、いや…。なんか真剣での手合わせ姫鶴の姐さんは初めてっつーのはわかるんだけどよ。なんか…まだ本気じゃねえというか一撃一撃がなんか物足りねえんだよな。」
「確かにそうだね。って兼さん!?」
「オラァっ!」
「っ」


突然和泉守さんが攻撃してきて流すことができず、攻撃をまともに受けてしまった。
いきなりのことで受け身もまともに取れずに倒れる。
脇腹が痛み出し斬られたのは脇腹だったことが分かる。
切っ先が向けられ動きを封じられてしまった。


「悪い、あんたの戦い方がどうも腑に落ちなくてな。ちょっと一喝させてもらったぞ。」
「っ…すみません、そうですね。私もちょうどそう思ってたんです。」
「で、聞くがどう腑に落ちないんだ。」
「ちょ、傷痛いのでいいですか?」


山姥切さんが肩を貸してくれて道場の端のほうまで運んでくれる。
堀川さんには手当てをしてもらい受けた傷は痛みつつもさっきの手合わせに反省しているところだった。


「…そうですね。先ほど山姥切さんに相手してもらってわかったんですけど、

私…結構戦闘狂みたいです。」
「それで狂っているところを見られたくないがために、曖昧な戦い方をしていたんだな。」
「はい…。竹俣や五虎退は知ってるのですが、まだ謙信公のもとにいたときは、裏で荒っぽかったんです。」
「「………え?」」



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