ベルトルト
「ベルトルトってさ」
「うん」
「ピンヒール似合うと思うんだよね、私」
「名前じゃなくて僕?」
「うん」
さっきから真剣に考え込んでいるみたいだったから、どうしたのかな?って心配してたけど、そんな事か……。心配して少し損した気分。
「ねえ名前。それ正気?」
「ううん。例えばの話」
「そ、そう……」
例えばの話で良かった。名前だったらやりかねそうで怖い。でもよく考えたら、そもそも僕みたいな巨人用のサイズなんてないよね。オーダーメイドでない限り。
「何ベルトルト、本気だと思ってたの?」
「う、うん」
「流石にベルトルトが履けるサイズなんて無いだろうし……まあ、オーダーメイドって手ならあるけど」
予想が当たってしまって、なんか複雑。
「名前は何で急にそんな事考えたの?」
「前にネットで見たのを思い出してね。それで」
「へぇ、最近はそんな事をしている男性もいるんだね」
やっぱり履くからには、可愛らしい人とか、綺麗な人なんだろうな……つまり、僕は名前にとってそういう対象ってことか。そりゃ、そうだよね。だってライナーみたいに男らしくないし、どっちかって言うと気弱だし。
「でも、やっぱりカッコいいベルトルトの方が好きだな。私は」
「え?」
「だから、そのまんまのベルトルトがいいって言ってるの。あんな事を言ったけどさ」
「名前……!」
―大きなうさぎさん。
(たまにおおかみだけどね)
fin.
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