鬼道
 




『よぉ、鬼道』
「……」
『おいおい。そんな嫌そうな顔すんなって。この俺様がわさわざ帝国から、雷門に来てやったんだぜ』
「寧ろ迷惑だ。帰れ」
『とかいっちゃってー。素直じゃないんだから』


鬼道がああ言うのは、ただ照れてるだけ。他のヤツから見たらそうでもないようだけど、俺には分かるんだ。鬼道の本当のキモチ。

鬼道はとことん俺にベタボレ。んで俺も鬼道にベタボレ。だから俺達は両想い……とはいってないんだよな。ほら鬼道って素直じゃないから。

でもそんなトコが俺は好き。なんてゆーの?イジクり倒したいってヤツ。それがイイね。あとナかせたい。色んな意味で。


「はぁ……もう嫌だ」
『何が?』
「お前のことだ。名前」
『何でだよ。俺何かヘンなことした?』
「ああ、その顔が気に食わない」
『ハァ!?何言ってんだよ鬼道。元こうだから、しょうがないだろ』
「金はやる。さっさと整形をしろ」
『分かった。じゃあ鬼道の顔にしてもらってくるから金をくれ』
「……やっぱり無しだ」


全く鬼道の優柔不断なトコロは困るな。まぁ、そこが魅力の一つだけど。っか、ジョークに決まってんだろ。鬼道の奴、あんなに真に受けちゃってさ。前と変わってないんだから。

いや……。鬼道は変わってきてる。心なしか帝国の時よりかは表情が豊かになって、それに楽しそうだ。

嬉しい反面悲しいけどな。だってさ、俺の知らない鬼道がどんどん出来上がってるってわけじゃん。帝国入る前から鬼道とは知り合いだった俺からすると、スゲー複雑。俺が鬼道の中で一番で、俺の中でも鬼道が一番だったから。

といっても、こうして毎日のように練習をほっぽって鬼道を見に来てんだけどね。総帥居なくなったから、練習でなくても怒る人居ないし。キャプテンなのに何やってだって感じだけど。


『っーことで、まだ見るから』
「何をだ」
『お前のことだよ、有人。例えこの世界が崩壊しようとも、俺はお前の事が好きだ』
「名前……」
『有人』
「って、同情するわけないだろ!!」
『ですよねー!!』






fin.






前へ 次へ

 
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -