照美
 



ホーリーロード三回戦まであと数日。私はいつもと変わらず学校に出勤し、授業を行い、そして部活を指導するはずだったのに…。

「名前先生。今日からサッカー部の監督になってもらう事になった、亜風炉照美くんだ」
「宜しくね」

この女のような男のせいで台無しになった。(しかも前より女っぽくなってるし…)

『ご丁寧な紹介ありがとうございます。ですが彼等は私一人で十分です』
「名前先生!!亜風炉監督はフィフスセクター側から推薦された方なんですよ」
「校長先生、別に僕はそんな偉いものではないので」
『そうですよ。コイツは自分は神だって厨二病発言したんですよ。しかもその後は宇宙人を自国の仲間に引き入れて、しかも韓国で』
「あはは、そんな事もあったね」
「話を聞く分だと…どうやら知り合いだったみたいですね。では、私はもう関わらなくて大丈夫でしょう」
「はい」
『ええ!!ちょっと待ってくださいよ校長先生!!』

私の懇願も虚しく、校長先生は応接室から出て行った。あんの野朗…絶対に教育委員会にラブホに女子高生と入っていく写真を教育委員会に出すって脅してやろう。

「昔から変わらないね名前ちゃん」
『あんたもね…それより、何であんたが木戸川に来たのよ。普通なら世宇子に配属されるんじゃないの』
「聖帝からの命令だったからね。僕も意外だったよ」
『なるほどね』

聖帝からの命令だったらしょうがない……って言える訳あるか!!まったっく、どいつもこいつも十年前から成長してないんだから。だけど、ここは落ち着こう。でないと、どんどん照美に漬け込まれる。

「でもまあ…君が居て良かった」
『…はぁ?』
「こうして二人でサッカーの事を考えられるからね」
『誰がいつお前とサッカーの事を考えた』
「連れないね…でも、今の木戸川は確実に手を合わせないといけないよ」
『分かってるわよ』

照美が言っている通り、木戸川のこの事態を引き起こしたのは私の力不足なせい。だから聖帝も照美を派遣したんだろう。次の相手が相手だしね。

『とにかくコレ』
「?」

私は持っていたパソコンを照美に向けさせる。今そのパソコンに映し出されているのは木戸川の選手の個人情報。フィフスセクターに提出するものよりもずっと善いものを。

「やっぱり流石だね…」
『私にはこんな事しか出来ないから…じゃあ、後は選手のメンタルは宜しく』
「いや名前は良くやったと思うよ。だから君には選手を見届ける義務がある」
『…』
「一緒に頑張ろう」
『…かったら』
「ん?」
『これで選手達が戻らなくて、勝たなかったら承知しないから』
「任せて」


―昨日の敵は今日の友。
(昨日と言っても十年前だけどね)






fin.

















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