「先にいただいています」

たった一言だけのメールだけど、俺にとっては凄く嬉しい。
だって、普段自分からメールをしてこない名前からのメール。
いつも送る方の身からしたら、ドライな名前からのメールは貴重なんだ。
(保護しておこう)
まぁ……そう言っても名前自身は怒ってるのかもしれないけどな。
何でかと言うと、俺が待ち合わせの時間に遅れているから。
バイトが思いのほか終わるのが遅くなっちまって、気づいたら待ち合わせの時間の10分後。
連絡しようと思ってたら、あのメールだったんだ。
あまり顔文字や絵文字を使わないから、いつもあんな淡白な感じだけどな……。
俺は移動しながらも、現在地と謝罪のメールをした。
ようやく着いたのはメールから30分後、つまり約束の時間から40分以上経っている。
急いで店に入ろうとした時、不意に名前を呼ばれた。

「竹谷くん、遅いですよ」
「名前さん!!何で?中に入って、もう食べてたんじゃないのか?」
「……最初はそうしようと思いました。ですが、一人で食べたって美味しくないでしょう?」
「そ、そうだよな!!じゃあ、入りますか!」
「ええ」


END



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