「三郎ー!また下級生虐めたんだって?」

爽快に開けられる、襖。そして、その前に立っている名前。全く、着替えてたらどうするんだ。私が、いやーんスケベって言わなきゃいけないんだぞ。そんなの御免だ。

「で、それがどうしたんだ?」
「で、って、可哀想だとは思わないの!」
「思わないな。だって騙される方が悪いじゃないか。忍者は騙してなんぼだろ?」
「そ、そうだけど……」
「忍者はそうして経験を積んでいくんだ。それに、見てて面白い反応をするからな。あいつら」

私は下級生達に持ち前の変装で学園長に化け、更に女装まで見せた。その時の驚きようと言ったら、思い出すだけで腹を抱えるほど笑える。

「三郎の場合、経験より面白さ重視なんでしょ」
「まぁな」
「いい加減、やめようとは思わないの?」
「これをやめてしまったら、私では無くなってしまうよ」

サクランボが入っていないクリームソーダ、ニラが入っていない餃子と言ったばかりにな。

「全く……意地っ張りなんだから」
「自分に素直なだけさ」




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テーマ「人外ファンタジー」
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