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「笠松くん、付き合って下さい!!」


はぁ……何でこんな最悪な場面に立ち会ってしまったんだろう。告白現場(しかも今時体育館のとか)を見てしまうのだって嫌なのに、更に好きな人とか。


「まじ最悪……」


私は笠松くんの事が好きだ。理由はその……まだ一年生の頃、男バスのマネージャー業に慣れてなくて挫折しかけていたら、私に優しく相談にのってくれたから、カッコ良く見えて好きになっちゃったんです。ベタな理由だけどさ……。


「あっ!あの先輩、去年のミスコングランプリじゃないっすか」

「そうなのだよ。だから私には勝ち目がないの」

「えっ…名前先輩って笠松先輩が好きなの!?」

「うん……って、黄瀬!?何であんたがここに居るのよ!!」

「笠松先輩にようがあって」

「そ、そう。それより、あんた聞いたよね」

「名前先輩が笠松先輩の事が好きって事っすよね?バッチリです!」


うーわ、何で選りに選って聞かれたのが黄瀬なの。(つか、誰にも聞かれたくなかった)もう本当に嫌だ。泣けてくる…。だってさ、海常が誇るキセキの世代イケメンモデルだよ。どうせ、不細工で地味なチビで太ってる私の恋を笑うんでしょ。これだから、目立つ奴はさぁ……。


「でも、大丈夫っすよ名前先輩」

「何が」

「あの人、笠松先輩の好みのタイプじゃないんで」

「……励ましてるつもり?そんなバレバレな嘘で」

「嘘じゃないっす!!本当本当!!だって、ケバい奴は嫌いだって笠松先輩本人が言ってたし」

「へぇ……」


よっしゃ、まじか!!これは私にも勝機があるかもしれない…っ!私は心の中でガッツポーズした。だって恥ずかしいし、からかわれたら嫌だし。その点、心の中なら見られる心配は無し。結果オーライなわけ。……でも、笠松くんのタイプって何なんだろう。黄瀬はああ言ったんだから、知ってる筈だよね。


「ところでさ黄瀬」

「何ですか名前先輩」

「笠松くんのタイプって」

「少なくとも先輩みたいな人じゃないっすね」

「おい、即答すんなよアホ」

「すみません……」


結局、玉砕する運命なのね私は。今まで告白してきて一度も成功した事なんてない。大抵、"友達でいよう"って言って断られる。はぁーぁ……私って恋する資格ないのかな?そう考えると何だか泣けてきた。


「泣かないでくださいよー……」

「泣いてないしパクリ野郎!!」

「いや、涙流れてる時点で泣いてる事になるでしょ。あと、俺はパクリ野郎じゃないっす」

「じゃあ、なんなのよ」

「そうっすねー、じゃあ魔法使い黄瀬涼太っていうのは、」

「聞いた私が馬鹿だった」

「え!!折角、魔法をかけてあげようと思ったのに、そりゃ酷いっすよ」

「だって魔法使いとか頭おかしい発言じゃん」


おとぎの世界じゃあるまいし。もういっそ、おとぎの世界であって欲しいくらいだけどさ。生活が困るから、そこまで望まないけど。


「あーぁ、折角名前先輩に魔法かけてあげようと思ったのに」

「例えば?」









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