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俺に会いたい?◇
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『にっこり笑って、こんな本読んで楽しいんか?』

『お前さん、ようこけるの』

『海と山どっちが好きじゃ?』

『マフィンが食べたいのう』

『寒がりなんか?9月なのにマフラー巻いとる。』

『春はまだかのぅ・・・俺も寒くなってきたぜよ』

『るんたった』


聞いたことある。詐欺師で有名な彼の名前。

苗字だけじゃわからない。フルネームを言われなければ。

今まで興味すら湧いてこなかった。

「あ・・・。」

そう思い、柳生くんに渡された本をめくる。


また20ページ目。


『俺に会いたい?名前チャン。』

と書かれていたそれを見て、

「柳生くん!ありがとう!」


走り出した。


いつ出会ったのかもわからない。

というかどんな性格なのかもわからない。


知っているのは、彼が銀髪で、よく屋上にいることだけ。


階段の踊り場を軽やかに駆けて、その重い扉を開いた。



彼にダイレクトに「会いたかったよ。」って伝えるために。


いつの間にやら惹かれていた気がする。

あの文字一つ一つに。文字が織り成す彼の態度一つに。

動いている彼を一目見たくて扉を開けた。



「・・・・遅かったの。名前チャン。」

「会いたかったよ。」

まるで今日来るとわかっていたかのような口ぶりをしてみせる彼に、微笑んだ。



※公共物に落書きはやめましょう。




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