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俺に会いたい?◇
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「彼はそんなことしませんよ。」

柳生くんの微笑はいつ見ても爽やかだな、


そういえば此処にいつもいる目の細い男の子も爽やかだよなぁ・・・、

立海って爽やかさん多いな。

とかなぁなぁなぁを連発しながら思っていると


「名字さんは真田くんに好意をお持ちですか?手伝いますよ。」

「好意?あぁ、違うの。違うよ。」

何度か顔の前で手を振って笑ってみせる。


ともかく私の好きな本にいたずらをした人を確かめるべく。


私の(自慢の)好奇心を顔に出さないようにしながら。

そうでもしないと柳生くんにバレてしまう。



筆跡からは性別はわからないし、ここの図書室は高校生は使わない。

じゃあ、先輩とかじゃないか。

考え事をしていながらも読んでいたのでもう最後。

主人公の二人が結ばれ、感動の終わりを迎えた。


私はその恋物語の20ページ目に


『楽しいよ』

とだけ書いて、返却手続きを済ませる。



「もう読んでしまわれたのですか。」

「うん、なにか面白いのある?」

一冊読み終えたとき、彼がいたらおすすめの本を聞くことにしている。

「そうですねー・・・この本などはいかがでしょうか。」

そういって彼は一冊の文庫本を取り出した。

桜の下で男女が笑っているもの。

「わ、また古いのを。」

「あなたが読んでいない本はあまりないですからね。これも、名前は知っていたのでしょう?」

本の虫ってわけじゃないけど、まぁ、本は好きだ。

特に感情移入ができるような書き方の本。

「うん、知ってた。でも読んだことはないな。」

「これも恋愛ものみたいです。」

マイブームなのか彼は最近恋愛ものをよく進める。

「読んだことないの?」

「ええ、仁王くん・・・友人が読んだそうですが。」

「ふーん。」

適当に相槌を打ちながら貸出処理をしていく。


手書きの貸出カードに、「におう」という名前はなかった。
 
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