08話目 3/6
「なんやねん仁王いきなりあらわれて。」
「睦月ちゃんか、いい名前じゃな。俺は仁王じゃ。仁王雅治。」
侑士が仁王くんに突っかかっていくのも無視して、仁王くんは私に視線を落とす。
「は、はぁ・・・・。仁王、雅治くん・・・。」
銀色がまぶしいこの男の子は今自分の周りがどんなふうになってるのかご存知ですかね。
下校途中なのか部活に行く途中なのか、校門前には多くの人がいた。
その校門のど真ん中には私たちがいるわけで。
そして私は
彼に抱きかかえられているわけで。
抱きかかえられているっていうか・・・・これ・・・。
俗にいうお姫様抱っこですよね。
「あ〜・・・他人行儀じゃのう睦月ちゃん。俺のことはそうじゃな・・・まーくんとでも呼んでくんしゃい。」
「おい、まーくんとやら。なに俺のこと気軽に無視しとんねん。」
先ほどから「おい、おい仁王・・・。」と幾度も呼びかけては無視されていた侑士がしびれを切らした。
「男に呼ばれてもうれしくなか。邪魔じゃ眼鏡。」
「(´・ω・`)」
「あ、あの仁王く」まーくん」
なにこれ怖い
「まー・・・くん・・・さん。テニスコートどっちですか?柳蓮二さんに呼ばれたんですけど・・・。」
恥ずかしさに顔を下げると、まーくんさんは私の顔を覗き込んできた。
「うちの参謀に、用かの?」
参謀というのはおそらく今話題に上がっている柳蓮二くんのニックネーム的なものだろう。
「あ、はいあの・・・・。えっと・・・・。うちの部長がちょっと・・・。」
さっきから本当怖いんだけどなんかフェロモンとやらが出てるんだけど跡部の言ってた怪物ってこの人のことだったのか・・・・・!?
「ああ、お前さんたちがあの氷帝の・・・わかったぜよ。テニスコート、連れてっちゃるき、ついてきんしゃい。」
そういって彼はテニスコートがあるであろう方角、詳しくいうなら私が先刻指差した方向とは真逆の方に歩き出した。
あれ、私このままの体勢で行くの?
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