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一生で一番好きな人 1/1
ーーーカチッ、カチッ…

焦点が合わない目は、私の思考回路そのものを表していたようだった。
時計の針が進む音しか聞こえない、静まり返った部屋。

光「お茶いれてきました。どうぞ。」
『あ、ど、どうも、ありがと、う。』

自分がなぜこんなにも緊張しているのか。
というよりか、緊張しなければならない状況に置かれているのか。
そもそも、なぜ緊張しなければならないのか。
そこが今の私にとって、考えるべき最重要事なのでは?
ことの発端は、今から遡ること約1時間前。

あんなに緊迫した雰囲気を出だしで作っておいて何だけど、実際はそんなに大変なことでもない。

光〈名前先輩、今から家来てください。ほな、待ってますんで。〉

プツッ…ツーツーツーツー…

という、この電話から始まったことなのだ。
一見、何の変哲もない電話のように思えるが、異常だ。
まず、異常要素の一つとして、相手から電話がかかってきたこと。
突然電話するなんておかしすぎる!!
そして、初めて家にさそわれたのも要素の一つだ。
まあ、何にせよ、彼氏のデートのお誘いを断るなんて野暮なことはしない。
むしろ、今すぐにでも駆けつけたい!!!
が、駆けつけたい衝動は抑えて、女子力UPに励んだその結果がこれだ。

光「何か見ます?」
『あ、ううん、大丈夫…』

って、なに会話途絶えさしとんねん私!
という今に至るわけなんですが、今の回想シーンの中に緊張する要素はなかった!

光「緊張してはるんですか?」
『え、あはは、まぁ…』

素直に答えてしまった自分を蹴り倒したい。
寧ろ半殺しにしてもいいんじゃないか。

『なんで、緊張してるんだろう…』

最近の私は思ったことをすべて口に出してるらしい。
自覚がないわけでもないんだけどね!
ていうか、あるんだったら治せよ!
って、なんか一人で突っ込んでさみしいわ〜。

光「そら、年頃の男の部屋に2人っきりなんすから。緊張しない方がどうかしてますわ。」
『あぁ!そっか、そういうことか!!!なーんだ、よかった……ってよくなぁぁぁぁい!』
光「先輩、五月蠅いっすわ…」
『あ、ごめんごめん、って、ごめんごめんじゃないし!ていうか、なんで光はそういうギリギリのラインの事を普通にサラッと言うかなぁ?!』
光「ダメやったんですか?」

猫なで声で聞いてくる光はいつもよりも1000倍以上可愛い。
でも、ダメなものはダメです!

『ダメやったんです!』
光「チッ…」
『あっ!舌打ちしたでしょ!』
光「でも先輩?ギリギリのラインだって、意識してはったんですか?」

サラッと無視しやがって、このぅ…!
しかもまた、際どいところを吐いてくる…。
その勝ち誇ったような笑みはやめてもらいたい。
しかも別に意識なんてしてないし…!!!

光「密室で、年頃の男女が二人きり…。しかも、家には誰も居らん。」
『わっ!』

思わず後ずさった私の後ろには壁さんがお目見えしていた。
目の前には、確実に間合いを詰めてくる光。
………逃げ場は、ない…。

光「名前…」
『…っ!』

両腕を掴まれ、重なり合う唇には、ほのかに熱がこもっていて。
深い谷底に落ちていく感覚がした私の意識は、脚に感じた冷たさに現実へと引き戻される。

『んっ、ゃ…』
光「………」

深く入り込んでくる光の舌。
そっとなぞるような指遣い。
それらに翻弄させられかけたそのとき…

「ただいまー、光。帰ったわよー。あら、お客さん…?」

玄関から声がしたのと同時に、光の顔と手が私から離れた。

光「チッ…」
『………ほっ…』
光「ホンマ、タイミング悪いっすわ。せっかくええところまできてたんに。」
『あはは……』

たしかに、惜しい気もしなくもないけど、流石に安堵の方が大きい。
あれが俗にいう“束縛”というものなんだろうか。
って、そんなことはどうでもいいわ!

光「まあ、今日の本当の目的は別なんで。ちょお、ついてきてください。」
『え?』
光「下おりますよ?」
『あ、うん。』

本当の目的は、また別にあるって、目的ってなに?

光「おかん、連れてきた。こいつ、俺の彼女。先輩の名字名前さん。」
母「あらー、べっぴんさんやねぇ!あんたも一丁前にかわええ彼女ができるようになったんやなぁ。」
『ぇ、ぁ、こ、こんにちは!』

なんか、突然紹介されたんですけど。
今日の目的ってこれ?
私をお母様に紹介することですか!?
まあ、確かに、もう2年以上も付き合ってるから、紹介されてもおかしくはないけど!
でも、急すぎるんじゃ…。
こんなことならもっと可愛くしてくれば良かった…。

母「この子ったら、今まで2年以上も付き合ってる人がいたことを隠してたんよ?つい最近知って、私が会いたいって言うたらなんて言いはったと思う?」
『ぇ?』
光「おかん、余計なことは言わんでええ。」
母「やーねー、光ったら。照れてはるんか?((笑」
光「照れてへん。」
母「ほんならええやろ?」
光「っはぁー。」
母「でな、なんて言ったか言うと、(大切な人なんで、そのうち連れてくるわ。)やって!愛されてるなぁ。」
『っ!……本当なの?光…』
光「……はぁ、だからおかんにはばれたくなかったんすわ。」

大切な人………光がそんな風に思っててくれただけで、こんなにも嬉しくなれる。
そう思ってたのは私だけかもしれないってずっと思ってたけど、私だけじゃなかった。

『光…!私も、大好きだよ!』
光「わっ、あ、あほ!こないなところで…!」
母「熱いなぁー。光なんて、照れてるやないの。」
『っ!!!ご、ごめん!!』

お母さんの前だということを忘れ抱きついた私を見て

光「フッ、ははっ、センパイ、顔真っ赤や…!」
『っ!!!…フフッ、あはは!お互い様だよ。』

満足げに笑う光は私の、最初で最後の、



一生で一番好きな人まる
((一生分の想い))((いつか君に))((届くといいな))
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Fin…02/19(Tue)
Writer…羚渕彩澪


喜びいさんでもらってきた相互記念夢ですん(´・ω・`)
嬉しくて冷蔵庫に頭ぶつけたった(´;ω;`)イタイ
彩澪様〜。ありがとうございました(*´ω`*)
私も書いて来ねば(キリッ
というかタイトル色間違えてないよね?
こんな色だったよね。
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